■今日の大谷翔平【NEWS】
・MLB公式サイトのチャリティーオークションに出品されていた大谷翔平が試合で使用したユニホームやバットなど11品の入札が米東部時間24日(日本時間25日)に締め切られた。最高額で落札されたのは9月22日(同23日)に本拠地でのアストロズ戦で着用した赤のユニホームで2万2600ドル(約256万9600円)だった。当初は同時午後9時(同午前10時)だったが、締め切り時間を挟んで入札が相次いだため、8分ほどオーバーして終了した。17日(同18日)に2500ドル(約23万3900円)から始まったこのユニホームの競売は、19日(同20日)に落札最低価格の2万ドル(約227万900円)に達した後、しばらく停滞。締め切りの4時間前に2万100ドル(約228万2900円)の入札が入ると、入札合戦となり最終的に2万2600ドルで落札が決まった。同時期に出品されたタイガースのミゲル・カブレラ内野手(38)がメジャー通算498号と2944安打を放った試合に着用したサイン入りユニホームの落札額は4981ドル(約56万6800円)だった。
≪9月22日アストロズ戦≫
他のアイテムも締め切り間際に入札合戦に発展。4月19日(同20日)のレンジャーズ戦で使用した折れたバットは締め切り10分前の8200ドル(約93万3000円)から1万4700ドル(約167万2600ドル)に跳ね上がり、15分ほど超過して決着した。4月4日(同5日)のホワイトソックス戦に先発して今季最初の三振を奪ったボールは7750ドル(約88万1800円)だった。また、変わったところではリアル二刀流で出場した6月11日(同12日)のスタメン表が1000ドル(約11万3800円)。6月23日(同24日)のジャイアンツ戦で先発して使ったロジンバッグが900ドル(約10万2400円)などとなった。オークションの収益は、エンゼルスが選考した様々な慈善団体へ寄付されることになっている。
≪4月19日レンジャーズ戦≫
■関連情報
マックス・シャーザー投手:
・MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者は、今オフにフリーエージェントとなる可能性のあるドジャースのマックス・シャーザー投手について、ドジャースと再契約しない場合はエンゼルスが有力と述べている。MLB公式サイトはシャーザーについて、「2021年も素晴らしいシーズンを過ごしたが、最高の終わり方ではなかった。ポストシーズンでは計16回2/3を投げて防御率2・16と好成績を残したものの、先発3試合のうち2試合で5回を投げきれず、ブレーブスとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第6戦では腕の疲労のために登板せず。シャーザーはすでにドジャースで最後の登板を終えたとみることもできる」と述べた。同サイトは、ドジャースが再契約を試みるだろうとコメントしつつ、10月に調子が落ちたとはいえ、シャーザーを欲しがる球団は多いとし、ジャイアンツ、エンゼルス、レッドソックス、ブルージェイズ、フィリーズ、アストロズ、カブス、レンジャーズ、マリナーズ、メッツ、ヤンキース、故郷のカージナルス、古巣ナショナルズなど、引く手あまただろうとつづっている。
■メディア
AP通信:
今冬にストライキ入りの危機 AP通信伝える、労使協定の延長が平行線(フルカウント)
福島良一氏:
左打者不利?なア・リーグMVPレース 今季は大谷翔平が最有力候補(日刊スポーツ)
広尾晃氏:
NumberWEB「酒の肴に野球の記録」
大谷翔平が「MLBの新たな歴史を作った」と断言できる2つの理由《21世紀で最大の仕事量+増える二刀流フォロワー》
■NOTE
結局、サインが入っていない大谷の着用済みユニフォームは、落札価格250万円を越えた。それよりも、カブレラのサイン入り着用済みユニフォームが50万ちょっとしか値がつかなかったことの方が驚いた。これだけ高騰しても価値を見出した落札者は、今回も日本人かな?!
噂されていたストライキは、本当に決行されちゃうのだろうか。スプリングトレーニングに影響がでるほど長引くのは止めてほしいけどなあ。
今日は、エンゼルス投手補強リストに、シャーザーの名前があがってきた。モレノ・オーナーは投手に対し、長期的な大金は払わなさそうだから、案外短年契約位で契約しちゃうかも・・・?!
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米大リーグが26年ぶり9回目のストライキ入りすることが確実になったとAP通信が伝えている。記事では12月2日(日本時間3日)からのストライキ入りがほぼ避けられず、FA市場の凍結や2月の春季キャンプ開始が危機にさらされているとしている。
米東部時間12月1日の午後11時59分で、機構と選手会側の労使協定が期限を迎えるため。昨春から新たな協定のための交渉を行ってきたが、合意につながる提案を「相手が行っていない」と両者ともに考えていると記事は伝えている。
2003年に始まったいわゆる「ぜいたく税」システムも、この期限とともに満期を迎える。記事はMLB機構がロックアウトを開始する可能性も指摘。この場合選手との契約が凍結され、市場の動きが止まることも見込まれる。
記事によるとこれまでの交渉で、機構側は年俸調停の廃止とFA取得年の変更(大リーグで6年の登録を得た選手が対象だったものを、選手が29歳半になった後のオフにFAとなるシステムに)を提案、また年俸総額の大きな球団が「ぜいたく税」を払うラインを下げること、球団の年俸総額に最低額を設けることを主張している。
一方で選手側は、最低額の設定がいわゆる“サラリーキャップ”の導入につながるとして何十年も拒否し続けているとしている。
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左打者不利?なア・リーグMVPレース 今季は大谷翔平が最有力候補※日刊スポーツ
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今季はエンゼルス大谷翔平投手(27)の輝きとともに、ベーブ・ルースも日米で脚光を浴び、再評価されました。ルースの時代から大リーグの偉大な強打者を挙げるなら、タイ・カッブ、ルー・ゲーリッグ、テッド・ウィリアムズ、スタン・ミュージアル、レジー・ジャクソン、ケン・グリフィー・ジュニア、バリー・ボンズの名前は外せないでしょう。ルースを含めて彼らに共通するのは、「左打者」ということです。
しかし、最近はア・リーグで異変が起きています。豪快なホームランでファンを魅了する左のスラッガーが、少なくなっています。2010年以降、同リーグで本塁打王に輝いた左打者は、13、15年クリス・デービス(オリオールズ)の1人だけです。
さらに、MVP(最優秀選手)の受賞者を見れば一目瞭然です。2011年以降、ア・リーグから左打者は1人も選出されていません。それどころか、全米野球記者協会による投票結果を見ると、左打者は17年が得票のあった野手22人中でホズマー(ロイヤルズ)、グレゴリアス(ヤンキース)の2人だけ。18年は野手18人でグレゴリアス1人のみ。19年は野手21人中で4人に増えましたが、ディバース(レッドソックス)の12位が最高順位。昨年も野手18人中で3人だけでした。
そんな左打者不利? の傾向にあるア・リーグMVPレースで、今季は大谷が最有力候補に挙がっています。
素晴らしい活躍を見せた理由の1つに、好転した左腕との対戦成績があります。昨年までは左投手に苦しみ、スタメンを外されたこともありました。しかし、今季46本塁打のうち、左投手から18本塁打をマーク。メジャー全体で右打者を含めても、マット・オルソン(アスレチックス)に次ぐ2位タイです。
さらに長打率は対右投手の5割6分6厘に対し、メジャー6位の6割3分6厘をマーク。OPSも対右投手の・954を上回り、メジャー8位の・980。左打者ではともにメジャーNO・1の実績でした。
他にも、メジャートップタイの8三塁打のうち、左投手から5本を放ちました。左投手から計33長打もメジャートップです。左打者にもかかわらず、右打者をしのぐ「左腕キラー」ぶりを発揮しました。MVP級の働きは、左腕を克服した結果と言えるでしょう。
一方のナ・リーグにはMVPの有力候補で、メジャー最高のOPS1・044を誇るブライス・ハーパー(フィリーズ)、同OPS・999のホアン・ソト(ナショナルズ)の両外野手がいます。いずれも大リーグを代表する左打者。ソトは7月のホームランダービー1回戦で「第1シード」大谷を撃破する番狂わせを演じ、日本でも一躍名をあげました。したがって、大谷がメジャーNO・1とは言い切れませんが、ア・リーグ最強の左打者として疑う余地はないでしょう。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)
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大谷翔平が「MLBの新たな歴史を作った」と断言できる2つの理由《21世紀で最大の仕事量+増える二刀流フォロワー》※NumberWEB
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ひとことで言うなら、2021年の大谷翔平には「楽しませてもらってありがとう」に尽きるだろう。
新型コロナ禍でうつうつとし、楽しみが限られる1年だった。またオリンピックも満足に開催できる状況ではなかったが、海の向こうで大谷は大暴れをしてくれた。日本だけでなくアメリカのファンにも「人間」と「野球」のさらなる可能性を見せてくれた。
日本時間10月29日(現地28日)には大リーグ選手会によるプレーヤーズ・チョイス賞、同11月12日(11日)にMLBのMVPの発表がある。大谷はアメリカン・リーグの最有力候補と言われている。
NPBでは、MVPは基本的に「リーグ優勝に最も貢献した選手」に与えられる。ただし、下位チームでそれを上回る抜群の活躍をした選手がいれば例外もある。2013年にNPB記録のシーズン60本塁打をマークしたヤクルトのバレンティンが最下位チームから選出されたのが直近の例だが、基本的には「優勝チーム」から選ばれることが多い。
しかしMLBではペナントレースとは関係なく「シーズンで最も活躍した選手」が選ばれることが多い。大谷翔平のチームメイトのマイク・トラウトは2014、2016、2019年の3回MVPに選ばれているが、チーム順位は1位、4位、4位だった。
そういう前例を考えれば、今季ア・リーグ西地区4位のチームに所属する大谷が受賞する可能性は大きいだろう。
では、MVP有力候補とされる今季の大谷は、どれだけすごかったのか?
筆者はここまでいろいろデータを出してきたが、投手・打者の二刀流で活躍したことの本当のすごさを今一つ説明しきれていない感じがしていた。
そこで、改めてデータで示してみたい。
端的に言えば、大谷翔平は「仕事量」が半端ではなかったのだ。
投手・大谷翔平の「被打撃成績(大谷が対戦した相手打者との成績)」と打者・大谷翔平の「打撃成績」を併記すると、以下のようになる。カッコ内は通常の投手成績である。
投手:23試合 473打数98安打15本塁打48失点 2盗塁 44四球 156三振 率.207
(23試合 9勝2敗130.1回 率3.18)
打者:155試合 537打数138安46本塁打100打点 26盗塁 96四球 189三振 率.257
打者として規定打席に達してほぼフル出場した大谷だが、投手としてもほぼレギュラー打者1人分の勝負をしたことになる。
被打数、打数にそれぞれ四死球や犠打犠飛を足した対戦打者数は533、打席数は639になる。合計すれば1172だ。大谷は今季、トータルすると1000回以上もメジャーの打者や投手と対戦したわけだ。
この数字の凄さを示すのは――今季、対戦打者数+打席数が1000を超えたのは、大谷だけであるという点である。これに次いでナショナル・リーグの2人の投手が900を超えている。
ザック・ウィーラー(フィリーズ)
対戦打者849+打席73=922
投:32試785打169安16本72失点4盗46四247三 率.215
(32試14勝10敗213.1回 率2.78)
打:32試68打11安0本3打点0盗0四39三 率.162
アダム・ウェインライト(カージナルス)
対戦打者828+打席74=902
投:32試765打168安21本72失点3盗50四174三 率.220
(32試17勝7敗206.1回 率3.05)
打:33試57打7安0本1打点0盗3四25三 率.123
ナショナル・リーグの投手は打席に立つので打撃成績がついてくる。そういう意味では「二刀流」ではある。もちろん、ほとんどが登板時の打席だけだが、ウェインライトは7月23日のレッズ戦で代打として打席に立って三振している。
では“一刀流”の打者はどうか。今季フル出場したアスレチックスのマーカス・セミエンの724打席が最高である。
打:162試652打173安45本102打点15盗66四146三 率.265
セミエンの本塁打、打点は大谷翔平とほぼ同じだ。大谷はこれに加えて先発で130イニングも投げていたわけだ。
昔のMLBでは300イニング以上投げるピッチャーが数多くいた。そのため当然、対戦打者数も膨大なものになった。20世紀以降の投手では1903年にニューヨーク・ジャイアンツのジョー・マクギニティが対戦打者1786(434イニング)を記録しているが、21世紀以降では2003年、ブルージェイズのロイ・ハラデーの1071(266イニング)が最多だ。ちなみにこの年のハラデーは9打席。対戦打者+打席は1080だった。
単純比較はできないが、今年の大谷の仕事量は《21世紀以降最大》だという見方もできるだろう。
大谷の成績に匹敵するのは――やはりベーブ・ルースということになる。
<1918年> 対戦打者660+打席382=1042
投:20試582打125安1本51失点12盗49四40三 率.215
(20試13勝7敗166.1回 率2.22)
打:95試317打95安11本66打点6盗58四58三 率.300
<1919年> 対戦打者570+打席543=1113
投:17試504打148安2本59失点4盗58四30三 率.294
(17試9勝5敗133.1回 率2.97)
打:130試432打139安29本114打点7盗101四58三 率.322
仕事量という面で見ても、大谷翔平はベーブ・ルース以来の存在だということになる。ただ、個人的にはベーブ・ルースとの比較は「もうそろそろいいかな」との思いもある。
筆者も2018年以来、当コラムや雑誌の「Number」などでベーブ・ルースとの比較をしてきた。大谷翔平は、確かに1世紀前のルース以来の存在であろう。しかしベーブ・ルースが存命だとして「あなたは二刀流で今の大谷翔平と同じくらい活躍したんですね」と言われれば、首をかしげたはずだ。
ルースはレッドソックスの左腕エースだった。1916年には防御率1位のタイトルもとっている。しかし打撃も良かったので打席に立つうちにホームランをたくさん打つようになって、1918、19年には本塁打王を獲得した。ヤンキース移籍後は打者一本でいくことになり、通算714本塁打、シーズン60本塁打など長くアンタッチャブルと言われる記録を樹立した。
それまでの野球は、タイ・カッブに代表される「打って走って次の塁を陥れる」競技だった。実はホームランは「珍記録」の類だったが、ルースはサク越えの本塁打を連発し、野球を「大飛球を打って、ゆっくり走って本塁に帰ってくる」競技へと変えたのだった。きっと、ルースに対して「あなたは野球の概念を変えた人ですね」と言えば、彼はにっこり笑って首肯したのではないだろうか。
そんなルースの二刀流は彼のキャリアでは「過渡期の産物」だった。2019年、24歳のシーズンをピークとしてルースは強打者へと変貌していったのだ。
ちなみにルースだけでなく、過渡期で「二刀流」になった選手は歴史上何人かいる。NPBでいえば1939年の川上哲治は以下の成績だった。
対戦打者449+打席385=834
投:18試377打81安2本46失点64四54三 率.242
(18試6勝4敗102.2回 率2.36)
打:94試343打116安4本75打点8盗37四19三 率.338
投手としては102.2回を投げて6勝4敗、打者では打点王と首位打者を獲得した。そして戦後は打者に専念し、打撃の神様として史上初の2000本安打を記録する。
ただ、大谷翔平の「二刀流」は、これまでの選手とはまったく事情が異なる。
これまでの「二刀流」は、投手から打者へと「本業」が変わる時期の過渡期の産物だったが、大谷の二刀流は今のところ来季以降も続く――すなわち「本業」なのだ。だとすれば、これを過去の「二刀流」と比較するのはそろそろやめてもいいのでは、と思う。
ベーブ・ルースが1918年に13勝11本塁打している。大谷は9勝46本塁打だから、ぜひ来季は2けた勝利を、という声もあろうが、それはあまり重要なことではないだろう。
おりしも、レッドソックスのアレックス・バードゥーゴや、レッズのマイケル・ローレンツェン、インディアンスのアンソニー・ゴースなど、大谷翔平に追随して二刀流を目指す選手が出てきた。
ベーブ・ルースの出現後に、アスレチックスのジミー・フォックス、ヤンキースの後輩ルー・ゲーリッグなどが本塁打を量産して本塁打ブームが到来したように、大谷翔平の後に、新たな歴史が生まれようとしている。
そう考えれば、大谷翔平の歴史的役割はくっきり見えてくるのではないか? MVPを獲得するとすればルース同様、MLBの新たな歴史を切り拓いたことへのアワードだろう。
だからこそ――筆者としては、来季も、怪我や故障なく、元気に打席に、マウンドに立ってほしい、そう願うのみ。
(「酒の肴に野球の記録」広尾晃 = 文)
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