初雪の頃になると思い出す事が有ります。

私が、タイヤメーカーにテストドライバーとして、出向していた時の出来事でした。


スタッドレスタイヤの開発の為に、東北地方の山道を三台の車で走っていました。

マッド&スノータイヤを三台のランクルに、違うメーカー三社、B社、Y社、D社のタイヤを履いて比較走行していました。

私と青木が組んで、B社のタイヤを装着しました。

今井と島田が組んでY社のタイヤを装着しました。

野村と新井が組んでD社のタイヤを装着しました。

会社から山道に向かう時から、チラチラと雪が降り始めていました。

本来なら、マニュアル車ですけど、今回はATのランクルでした。

私以外の二人は、マニュアル5速のランクルでした。

私は、ドライブレンジにシフトを入れて、淡々と走行していました。

峠に入る前に、道の駅で軽い昼飯を食べて、打ち合わせをしました。

このテストドライブのリーダーは私でした。

一応、親会社の係長ですから、出向先では課長待遇です。

ラリー形式で、5分間隔でスタートする事にしました。

三台とも、無線を積んでいます。

それに、全員アマチュアラリーを経験しているから、レッキノートを持っています。

この山道は、夏場も走っているから、コースは分かっています。

ただ、雪女の伝説は知らなかった。



後編に続く