第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
◎国家と宗教のかかわり
憲法の政教分離原則は、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではない。
憲法20条3項にいう宗教的活動とは、行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
市が主催した市体育館の起工式は、宗教とのかかわり合いをもつものであるが、専ら世俗的なものと認められ、憲法20条3項により禁止される宗教的活動にはあたらない。
玉串料を県の公金から奉納することは、特定の宗教団体を特別に支援しており特別なものであるとの印象を与えるものであり、憲法20条3項、89条に違反する。
殉職自衛官を護国神社に合祀申請する行為は、神社の宗教を助成、促進するものにはあたらず、憲法に違反しない。
私立宗教学校への国の補助金、学校での宗教の歴史を学ぶ講義等は、憲法の政教分離原則に違反しない。
◎信教の自由
信教の自由の保障も絶対無制限のものではない。
信仰の自由は絶対無制限のものである。(内心の自由の絶対性)
信教の自由は、信仰の自由・宗教的行為の自由・宗教上の結社の自由からなります。信仰の自由とは、自分が好む宗教を信仰する自由・好まない宗教の信仰を強制されない自由のことです。
信仰の自由は、内心にとどまるものであり絶対的に自由です。宗教的行為や宗教上の結社は外部的行動を伴うため、他人の権利・秩序などと衝突する場合には制限される場合があります。
宗教上の人格権であるとする静謐な宗教的環境の下で信仰生活を送るべき利益なるものは、これを直ちに法的利益として認めることができない性質のものである。
信仰上の理由により剣道実技の履修を拒否した生徒を、代替措置をとらずに退学処分とすることは、裁量権の範囲を超える違法なものである。
また、代替措置は、憲法20条3項に違反しない。
宗教法人の解散命令は、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである場合には、信教の自由を害しない。
他人の生命、身体等に危害を及ぼす違法な有形力の行使にあたる宗教行為は、信教の自由の保障の限界を逸脱したものである。
ちなみに、信教の自由は、明治憲法でも認められていました。