特別展「世界遺産 ラスコー展」
2017.1.24 国立科学博物館
開催期間 2016.11.1-2017.2.19
開館時間 9:00-17:00(金曜は20:00まで)
鑑賞時間 14:45-16:30(休憩4回/映像コーナー2回含む)
昨秋、「デトロイト美術館展」を鑑賞するために上京した時に上野界隈でポスターを見て、「へぇ~こんなのやってるんだ?」と思ったのがこの「ラスコー展」でした。
その時は考古学関連の企画展なのかくらいの認識であまり興味は持てなかったのですが、その後展示内容などを知って時間が合えば観てもいいかなと思っていました。
場所は上野の国立科学博物館ということで、観に行こうと思えば上京のタイミングでいつでも立ち寄れるわけですが、逆にその利便性ゆえになかなか思い切れないうちに年が明けてしまいました。
今回はAKB48劇場での公演が当選したので夕方までに上京すればよかったわけですが、せっかくだから秋葉原に近い上野で時間つぶしもよいかなと早めに上京。
ただ事前の観覧レポなどをチェックすると一時間半ほどで観終わる感じなので、あまり早く着いても逆に時間調整が難しい。
先に上野で「ラスコー展」を観るプランもあったけれど、この日はまず六本木に回って出雲大社東京分祠にお詣りしてから、上野に移動するというルートになりました。
もともと文系の人なのでいわゆる科学の分野は苦手で、こういう展示会も二の足を踏むことが多いわけですが、今回は昨年からのいい流れでこの「ラスコー展」にたどり着くことができました。
ひとつは六本木美術館で観た「芸術と宇宙展」、もうひとつは「TENQ×ウルトラセブン 企画展『ウルトラアイからみた宇宙』」で宇宙ミュージアムTENQの展示を観たことでした。
「芸術と宇宙展」は芸術というアプローチながらこれまでの過去から続く人間と宇宙とのかかわりをざっくりと考えるいい機会になりました。
正直やや難解な部分もあったのですが、漠然と自分の中での宇宙観みたいなものを再確認できたのもよかったと思います。
そういえば小学生の頃は天体観測にあこがれ、友人が持っていた天体望遠鏡を触らせてもらったり、星座表なども自分で操作したりしていたのを思い出しました。
いつの間にか夜空を見上げることもなくなりましたが、今でも冬の夜空を見上げてオリオン座を見つける習慣は変わっていません。
一方の宇宙ミュージアムTENQでは企画展の「ウルトラアイからみた宇宙」が目当てでしたが、宇宙ミュージアムの各展示エリアを通らないと企画展のブースに入れない設定になっています。
この展示では宇宙研究の最前線も含めて、これまでの宇宙探索の記録や体験型の展示など、より身近に宇宙とのかかわりを実感できる構成になっていて、自分の宇宙観をちょっとくすぐる感じもありました。
そして今回の「ラスコー展」では我々現代人の起源ともいわれるクロマニョン人が残したラスコー洞窟の再現壁画を通じて、2万年前の人類が生きた時代に思いを馳せることで、これまで見てきた壮大な時間の流れを改めて実感できた気がして、ちょっとした達成感も味わえました。
<展示概要> 公式HP
[音声ガイド] ※〇数字及び( )数字は解説対応
ナビゲーター:恒松あゆみ
スペシャル解説:海部陽介 五十嵐ジャンヌ
今回も音声ガイドを利用しましたが、内容が若干子供向けなのでしょうか、所々でクイズなどが挿入され、時間的に先へ進みたい時は途中で切ってしまいました。
イントロダクション
入り口を入るとクロマニョン人の母娘の復元レプリカがお出迎え。
実際に発掘された骨などのデータをもとに作られているそうです。
現代人と変わらぬビジュアルは驚きものです。
第1章 衝撃の発見、壁画の危機、そして閉鎖
(55)プロローグ
①ラスコー洞窟の発見から閉鎖まで
第2章 封印された洞窟を開く よみがえるラスコー
現状保存のために閉鎖されたラスコー洞窟の状況を1/10の模型で再現展示しています。
②よみがえるラスコー
ただ展示そのものは洞窟を各エリアで分断して別々に並べてあるのでちょっと全体像をつかみづらかったですね。
第3章 洞窟に残されていた画材・道具・ランプの謎
実際の壁画に使われた画材やランプなどの遺物を世界初公開も含めて展示。
このエリアの展示物は撮影不可でした。
③洞窟に残されていた画材
④ふしぎな道具
⑤洞窟の闇を制したランプ
⑥ラスコー洞窟への招待
第4章 ラスコー洞窟への招待
実物大で再現されたラスコー洞窟の壁画<ラスコー3>を展示するこの企画展のメインコーナー。
〇褐色のバイソン・ヤギの列・ウマの列
実際の壁画ではよく目視できない線画などは暗転したときにブルーに浮かび上がるようになっています。
この暗転と照明の点灯が時間ごとに繰り返されることになります。
⑦泳ぐシカの壁画
〇泳ぐシカ
⑧黒い牝ウシの壁画
〇黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号
〇黒い牝ウシ
〇背中合わせのバイソン
⑨井戸の場面
〇槍が刺さって腸がはみ出しているバイソン
〇鳥人間?と投槍器
〇6つの黒い点
照明が点灯されている時間の展示エリア。
第5章 ラスコーの壁画研究
⑩ラスコーの壁画に描かれた動物
(66)海部博士スペシャル解説①
クロマニョン人のがみた動物たち
〇映像コーナー
第6章 クロマニョン人の世界 芸術はいつ生まれたか
⑪ヨーロッパの人類タイムトンネル
ハイデンベルク人
ネアンデルタール人
クロマニョン人
⑫クロマニョン人の文化
(77)海部博士スペシャル解説②
クロマニョン人のすごさ
ここから先はクロマニョン人が実際に残したアクセサリーなど様々な美術品の展示を通して、壁画以外の彼らの芸術に触れることができます。
貴重なものばかりなのでこのエリアは撮影不可になっています。
⑬アクセサリーを見につけたクロマニョン人の墓
⑭体をなめるバイソン
⑮投槍器
(88)五十嵐博士スペシャル解説
ラスコー洞窟の調査体験
第7章 クロマニョン人の正体 彼らはどこから来たのか
〇映像コーナー
⑯クロマニョン人の正体~エピローグ
※一旦退出
ここで一旦展示エリアを出ることになります。
音声ガイドはここで返却となり、実際の展示エリアに戻ることはできません。
[第2会場]
ラスコー洞窟の壁画が描かれた時代の日本との対比がメイン。
第8章 クロマニョン人の時代の日本列島
世界遺産 ラスコー展 公式ショップ
最初はあまり期待していなかったのですが、やはりあの<ラスコー3>の洞窟壁画の展示だけでも十分に観る価値はあると思います。
考えたら国立科学博物館への来館も久しぶりでした。
たぶん前回訪れたのは特別展「医は仁術」以来3年ぶりだったようです。
いつもの美術展のように自分のペースでゆったり観る展示会とも違うので、若干戸惑いもあるのですが、たまにはこういう考えながら観て歩く展示もわるくないですね。