幼かった時から愛を求めていたような気がする。

境遇も関係しているのか分からないが、幼い時から訳の分からない漠然とした不安にとらわれる事が多かった。
黒いモヤモヤしたものに心を占領されそうになるのだ。

長じるにつれ心に空いた空虚な空洞が拡がり続けていた。普通に学生生活を送りながら、笑ったり、遊んだりしたが、その空洞は埋まらなかった。

あまりに虚しくて酒を飲んで紛らすようになった。煙草は中学の時初めて吸った。

酒量はどんどん増え、毎日浴びるように飲むようになった。完全なアルコール依存だ。

だが、心の空洞は埋まらない。

そんな時ある人に出会い恋をした。でも、今振り返ると恋に酔っていただけかもしれない。自己愛を恋と勘違いしていたような気がする。

彼は、涙ぐましいまでに献身的に私に尽くしてくれた。互いに酒好きだったので二人でいる時はよく飲んでいた。

最初は彼の献身的な愛情に感謝して幸せに感じていた。でも、時が経ることで恩知らずの私は彼への感謝を忘れた。

彼が尽くしてくれる事が当然だと思うようになり、少しでも思い通りにならないと彼を罵った。

そんな最低な私を彼は責めもせず、変わらず尽くし続けてくれた。
彼は次第に私にとって恋人から父親、兄、弟、友人の役割も兼任するようになった。私がその全てを求めたからだ。

そして私は肉親のように愛してくれる彼に依存するようになっていた。依存が深くなればなるほど心の均衡を失った。

精神的に不安定な私は無理難題を彼に押し付け彼をとことん傷つけた。

今思い出すだけでも、自身の身勝手な極悪ぶりに申し訳なさと恥ずかしさで身が縮む思いだ。

当然のことながら二人の関係は破綻した。デザイナーを目指す彼が東京に行くのが契機となった。

彼にも男としての狡さはあったが、私が彼を酷く傷つけた事を思えばかわいいもんだ。

愛することの難しさを知った苦い思い出だ。愛が何だか分からなかった、愛し方も愛され方も。幼かった私。


本当の愛を知った今、心から愛したい。依存しない、相手を尊重し思いやる暖かい愛で。

出来るだろうか…まだまだ未熟な私だ(笑)