福岡県の県立普通高校は13の学区に分割されていて居住する地域によって進学できる高校が規定されている。そのうち福岡市を中心とする学区は第4学区、第5学区、第6学区の3つが該当するが第4学区の中で(こういう言い方は何だが)もっとも偏差値が高い進学校が福岡高校である。

 

 

これまで春夏通じて甲子園の出場経験はないがここ数年、どんどん野球の実力もup。昨夏の福岡独自大会では何と決勝まで進出、オリックス・ドラ1の山下舜平太投手を擁する大濠相手にタイブレークの激戦の末、頂点に立つにいたっては俄然この高校のことが気になってきた。本日は4地区に分かれて開催されている夏の前哨戦・福岡地区大会の3回戦を観戦、その気になる福岡高校の試合を初めて見ることができた。福岡高校は初戦で第5学区最難関の筑紫丘、2回戦では第6学区最難関の修猷館という「進学校対決」を勝ち上がっての今日の試合。

 

その福岡高校と対戦したのは一昨年春・夏と甲子園に連続出場を果たした筑陽学園。

 

 

この春は県5回戦で東福岡に2-3で惜敗、九州大会出場は逃したものの今年も上位に食い込む力は十分にある学校なのだろう。さぁそういう両校の対決、どんな試合になるのか固唾をのんで(?)注目。

 

今日から大分では高校野球の春季九州大会も開幕、その他にも他県で見てみたい試合があってどこをおじゃまするか朝方ギリギリまで悩んだのだが、またしてものコロナ拡大…(-.-)。長距離の遠征は自重し、午前中だけ近場で高校野球を見ることにした。本日おじゃましたのは春日公園野球場、もう数えきれなくらい過去に訪問している野球場だが今日は一昨年の8月以来とちょっとお久しぶり。

 

 

東京、関西圏では3度目の緊急事態宣言が発出、福岡でもじわじわと感染者数が増加してきていてようやく「有観客試合」が戻ってきた福岡の高校野球にもまた暗雲が立ち込めてきたが、まずは今日この試合を見ることができたのはよかった。本日球場入れたのは試合開始30分前の8:30。まずは両校の保護者、関係者の方が順次整列入場されたのに続いて(当方のような)一般の観戦者が入場。受付では専用用紙に住所、氏名、連絡先に球場内の観戦場所を記載。検温に手指消毒は言わずもがなである。そのためのスタッフの準備も大変だと思うが試合が見れることは有難い限り、福岡高野連さん、ありがとうございますm(__)m。

 

さて気になっていた福岡高校、試合前、ベンチ前で捕手相手にキャッチボールしている選手がなんかただならぬ雰囲気を醸し出している。その雰囲気の持ち主は福岡先発の井崎くん。

 

 

パッと見、身長は180㎝を裕に超え、体重も80㎏オーバー(?)、とてもがっしりした体格から重たそうなボールを放ってくる。初回、先頭打者への初球は142㎞を計測(@_@。その後145㎞というのが数球あったがこれが今日のmaxだったかもしれない。まぁ(またまたこういう言い方は何だが)福岡県屈指の進学校にこれだけの剛速球を投げる投手がいるとはいきなりのサプライズ。今日の試合はやや制球に苦労していたがこのボールがしっかりとコースに投げ切れると筑陽学園のような強豪校でもそうは打てないと思う。この試合は4回途中で降板となったがそれでも芯で捉えられた打球は1,2球しかなかったのではないかな。

 

井崎くんは打つ方もすごい。今日の打順は3番だったが福岡打線においては間違いなく最もパワーを感じる選手。

 

 

2打席目にレフト線へ運ぶツーベースがあったが攻守に高いポテンシャルを持った選手、夏に向けさらなる進化が期待される。

その井崎くんをリリーフした緒方くんもとてもよかった!!

 

 

球速は130㎞前後だが腕がしっかり振れているからなのか球速以上にボールにはスピードと伸びを感じる。特に右打者膝元へのいわゆるクロスファイヤーはしびれた(*_*;、本当にいいボールが来ていたと思う。四球とエラーで失点したものの4回途中からのリリーフで筑陽打線を無安打に抑えたのは見事。打つ方ではこの試合、両チームを通じで最もいい当たりとなった右中間へのツーベースもあったがこちらもなかなか。井崎くん、緒方くんの2枚看板はかなり楽しみ(^^)/。

 

対する筑陽、一昨年甲子園に春夏連続出場した時の正捕手、進藤選手は上武大でこの春のリーグ戦は4番を任されているようだ。

 

 

確かにいい打者ではあったが2年生にして上武の4番を任されるとはすごい。(確か)糸島B出身の選手、この選手もさらに上のステージでの活躍が期待できそう。

 

さて現役選手、先発の村田くん、2番手の木口くんともに安定感のあるピッチングを見せてもらった。

 

 

 

似たようなタイプの投手だがどちらの投手もとにかく低めへしっかりとボールを集める制球力が見事。この試合、与えた四球は(多分)一つだけ、要所、要所でしっかりとストライクゾーンギリギリにボールがコントロールされていた。決して球威で抑えるタイプではないがしっかりと試合が作れる投手達だと思う。

 

常にリードされる展開となった福岡高校、6回だったが無死1,.2塁の場面で打席に立ったのは主将の松本くん。

 

 

守備からの途中出場、この打席はきっちり3塁ライン上に転がす送り(セーフティ?)バントが内野安打となりさらにチャンスを拡げた。いやぁー、このバントは本当にお見事でした。

 

ただ福岡は送りバントなど小技は決して多用せず、基本積極的に打ってくる攻撃型のチームでもある(と感じました)。

1番打者は竹下くん、この試合ではしっかりとボールをひきつけた逆方向への鋭い打球が印象に残った。

 

 

特にレフト前へライナーで運んだタイムリーはスカッとするとてもいいい当たりだったと思う。4番の藤田くんは決して大きな選手ではないが思い切りの良さとバットコントロールの良さを兼ね備えている。

 

 

1点リードされた3回、得点圏に走者を置いた場面では"チョコン"とセンター前へはじき返すタイムリー巧打、これは本当にうまく打った。さらには3点ビハインドの6回、先頭打者が四球で出塁するとその後の初球をしっかりとライト前へ打ち返すクリーンヒット。バントの素振りさえ見せなかったがこの辺なんか強豪校の試合運び、筑陽学園を上回ると言ってもいいような力強い打撃を見せてもらった。

 

対する筑陽の1番打者は主将の大内くん、2打席目、死球で出塁するとこれまで見たことがないリードの取り方。

 

 

重心を下げて投手の脚の動きを注視し、低い体勢のまま次の塁へスタートを切るという一般的なスタイルではなく、(ほぼ)直立姿勢でリードを取り、そして投手が投球動作に入ると同時に第2リードへ入っていく。それは1塁走者の時だけでなく、2塁走者の時も同様。さらにこれは大内くんだけでなく、筑陽のほとんどの選手がこのスタイル。当方にはわからないが例えば投手のモーション全体が俯瞰しやすいとか何らかの目的があるのは間違ない。筑陽はこのスタイルからとにかくどんどん機動力を生かして福岡野手陣を揺さぶってきた。

 

8番打者の山口くん、右投げ左打ちのキャッチャー。

 

 

2打席目にはセンターへしぶとく打ち返すタイムリーもあったがちょっと驚いたのは1打席目、多分ワンバウンドのボールを打ちにいった。結果は1塁へファールフライとなったがなんかイチロー選手張りのバットコントロール、今年の筑陽打線は一昨年のチームと比べると目立った選手はいないもののしぶとくつなぐような選手が揃っている(という勝手な個人的印象)。

 

筑陽打線で最も印象に残ったのは3番の矢野選手、筑陽の機動力を活かしたつなぐ野球の中心的な役割として機能していた。

 

 

初回、2死走者なしから四球で出塁するとすかさず二盗、三盗と連続で成功、その後先制のホームを踏んだ。福岡・先発の井崎くんの前に快音聞かれないまま迎えた3回の2打席目にはライトへライナーで運ぶこの試合チーム初ヒット。ミート力のある打撃、抜け目ない走塁、野球センスの塊のような選手。まだ2年生なのかな?、これから結構楽しみな選手になってくるかも。

 

筑陽はわずか3安打、福岡はそれを大きく上回る8安打を放つも試合は筑陽が勝利。

 

 

昨日、ホークスの試合では中村晃選手が「打撃妨害」にもかかわらずツーベースヒットを放ったがこの試合では「守備妨害」、「走塁妨害」の判定で試合が中断する場面があった。3塁走者の本塁突入、捕手がベースをすべて隠すようなブロックをすると「走塁妨害」となるがそれでも完全にアウトのタイミングで捕手が返球を捕球していれば走塁妨害にはならない?

満塁のピンチでホームゲッツーを狙うも捕手から1塁への送球は悪送球、ただ打者走者がラインの内側を走ったという判定で「守備妨害」成立。いずれも福岡のアピールプレーである。

 

そんなこともあった試合、福岡としては3つのタイムリーエラーが痛かったとしか言いようがないがそれを誘発する筑陽の攻撃がさすがだったのかもしれない。バントは全部で6個、7個?、それに隙のない走塁を絡めての攻撃はなんか試合前に勝手に想像していていた両校のチームカラーが逆転したような印象が残った。

 

にしても本日初見の福岡高校、この強さはホンモノである。

 

 

力で押せる剛球投手に積極的に振っていく打線、敗れはしたが筑陽とガップリの互角の試合、想像以上の地力を感じさせてもらった。

 

試合後、福岡の主将がとても悔しそうにしている姿を目にしたが地区大会、夏の前哨戦とは言え、本当に毎試合全力で戦っていることが伺われる場面だったような気がする。

 

この夏も進学校の躍進が見られそう。

 

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午後からは糸島Eの練習へ。

 

 

本日は当方が提案した練習メニューを取り入れてもらったが選手達はどう思っただろうか。

 

 

当方がたまたまあるチームの練習を見ていて「これはいいな」とただパクった企画ではあるがこのチームに最も欠けている走攻守すべての面で1球、1プレーに集中する力を養うにはいい練習だと思う。ただまだ思ったようにはできていない、集中力を持続させるというのはやはり容易ではないことを感じさせられる。

 

しかし1試合1.5時間~2時間、一時なりとも緊張感を緩めてはいけないのが野球である。

1人ではできなくてもチーム全員の集中力を結集すれば必ずできると思う。

常に集中して次に起こりうること、起こせることをいろいろ想像する力。

 

練習終わって身体と同じくらい頭も疲れるようになったら強さはホンモノ。

 

明日の試合で是非にそういうところを見せてもらえたらと思う。

 

あー、にしてももうすぐGWというのにコロナに仕事、まったくワクワク感なし(-.-)。

野球だけは、野球だけは取り上げないでください!!