志田said

〔起きてる?〕

日付が変わる直前に送られてきた理佐からのLINE。

〈起きてるよ〉

〔そっち行っていい?〕

〈いいよ〉

すぐに既読がついた。

こんな時間に起きてて大丈夫なのかな?

志田「明日仕事入ってなかったっけ?」

すぐさま理佐とのトークを遡る。

あ、あった。

特に仕事は入ってないみたいだけど午後からレッスン。

皆と同じか。



コンコンッ

お、来たかな。

志田「はーい」

ガチャ

渡邉「入っていい…?」

志田「いいよ」

ん?

なんかいつもと様子が違うような…

気のせい?

渡邉「ごめんね、こんな夜遅くに」

志田「本当だよー、寝ようとしてたのにさー」

渡邉「ごめん…」

志田「え!?じょ、冗談だよ!私も理佐に会いたかったし!」

いつものノリで「別にいいじゃん、愛佳だしー」とか意味不明な返しをするのを期待してたのに。

すんなり謝ってくるなんて。

渡邉「…」

やっぱり今日の理佐はおかしい。



志田「理佐?」

渡邉「ん?」

ベットに腰かける理佐の隣に座る。

志田「疲れたの?」

渡邉「大丈夫…」

志田「…」

「疲れたの?」っていう問いに「大丈夫」はおかしくないか?

最近理佐特に忙しいもんね。

やっぱり疲れてるんだ。

志田「ん?」

渡邉「…」

理佐、顔色悪い?

目の下の隈もいつも以上に濃くなってる気がする。

志田「体調、悪いの?」

理佐の視線が動いた。

図星だ。

渡邉「全然、絶好調」

志田「いやいやいやいや」

そんなの見え見えの嘘。

すると突然、理佐が立ち上がった。

志田「理佐?」

渡邉「ありがと愛佳、もう戻るね」

志田「え?」

それだけ言って部屋を出ていこうとする理佐。

志田「ちょっ…理佐待っ_」

待ってと言おうとしたその瞬間、理佐の身体が崩れ落ちた。

志田「理佐!」

咄嗟にその身体を受け止めて、ゆっくり床に座らせる。

志田「大丈夫?」

渡邉「ごめん…」

志田「体調悪かったんでしょ?」

渡邉「……うん…」

ほら、やっぱり。

渡邉「わっ…」

志田「じっとして」

理佐の身体を持ち上げ、私のベットに寝かせる。

志田「あ、何か用あったんだよね?」

渡邉「ない、けど…」

志田「え?」

渡邉「ただしんどくて…愛佳に会いたくなった…」

可愛い…じゃなくて!

志田「…そっか」

ギリギリまで我慢する理佐。

そんな理佐が弱味を見せているのは、相当辛いということだろう。


志田「明日昼からでしょ?ここで寝ていきなよ」

渡邉「え、でも…」

志田「いいから!どうせ部屋に戻っても寝れないでしょ」

渡邉「!」

お、ビックリしてる。

気づいてないと思った?

最近理佐が寝不足気味だってこと。

しかもそれは忙しいからだけじゃなくて、悩んでいるからってこと。

そのせいでできた隈をチークで懸命に消そうとしてること。

志田「いつも一緒にいるんだから」



渡邉said

渡邉「愛佳…」

志田「無理に聞かないから、話したいと思ったらいつでも言って?」

渡邉「うんっ…」

志田「よしっ!寝るか!」

「隣失礼しまーす」なんて言って隣に潜り込んできた。

志田「おやすみ~」

渡邉「おやすみ…」

迷惑はかけられないと思って隠してやってきたつもりだった。

それでも愛佳は気づいてくれてた。

今の私にはそれがとてもありがたかった。

渡邉「愛佳?」

志田「ん?」

渡邉「ありがと…」

志田「ふふっ…どういたしまして」











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いつも読んでくださってありがとうございます!
もなりさ小説です。
小さな変化に気づいてくれる友人がいるとありがたいものです。
体調が良くないときなどに、周りの雰囲気を壊さないようにサポートしてくれる友人には頭が上がりません。
なかなか難しいことではありますが、私も友人にとってそんな存在でいられたらと思います。
それでは、次回も是非読んでください!
これからもよろしくお願いします!