物価高騰は、単なる外部ショック(中東・ロシア・ウクライナ情勢)ではありません!
板橋区議会の議論でここを読み間違えると誤った政策議論になってしまいます。
改めて整理したいと思います。
1. デジタル赤字(サービス収支の悪化と恒常的な円売り圧力)
海外の巨大IT企業(クラウド、SNS、広告、SaaS等)への支払いが膨らむ「デジタル赤字」は、構造的な円安圧力として機能しています。
【 為替を通じた輸入インフレの固定化】
貿易収支が赤字化しやすい構造に加え、毎年数兆円規模の「デジタル赤字」が外為市場で恒常的な「円売り・ドル買い」を発生させています。
これにより、かつてのような「有事の円買い」や円高還元による物価安が起きにくくなり、円安を起点とした輸入物価高騰(エネルギー・食品・原材料)が構造化しています。
2. マイナス実質金利と通貨価値の減価
日銀による長年の超金融緩和政策の結果、名目金利から予想インフレ率を引いた「実質金利」が大幅なマイナス圏で推移し続けています。
【自国通貨建て購買力の低下】
実質金利がマイナスであることは、日本円の価値が時間の経過とともに実質的に目減りすることを意味します。
投資資金がより利回りの高い外貨へと流出しやすくなり、さらなる円安を誘発して輸入物価を引き上げるというスパイラルを生んでいます。
【低生産性企業の温存】
超低金利環境が長引いたことで、本来であれば代謝されるべき低収益企業が存続し、産業全体の生産性向上や大幅なベースアップを阻害する一因にもなりました。
3. 稼げる高付加価値産業の停滞とサプライチェーンの海外依存
かつて世界を席巻した電機・IT・製造業などの失速により、海外から「稼ぐ力」が低下しました。
【貿易構造の変化とコスト転嫁の遅れ】
製造拠点の海外移転(空洞化)が進んだことで、円安が進んでも「輸出数量の増加によって国内が潤う」という過去の構造が機能しにくくなりました。
【価格支配力(プライシング・パワー)の欠如】
グローバル市場で圧倒的なシェアと価格決定権を持つ高付加価値製品・サービスを生み出せていないため、原材料高をグローバル価格に上乗せして稼ぐ力が弱く、国内企業は「高い原材料を買い、国内の厳しい購買力に合わせて身を削る」構造に直面しています。
【その他の構造的要因:人手不足(構造的労働需給の逼迫)】
上記3点に加え、日本の産業構造における最大の要因が少子高齢化に伴う構造的な人手不足です。
【サービス価格・物流コストの上昇】
物流、建設、飲食、介護・医療などの労働集約型産業において、労働力不足から人件費や委託費の引き上げが避けられなくなっています。
これは輸入インフレとは異なり、国内の需給・構造要因によってサービス物価を引き上げる要素となっています。
【まとめ】
中東・ウクライナ情勢は「火種」に過ぎず「デジタル赤字等による恒常的な円安圧力」「実質金利マイナスによる通貨価値の減価」「高付加価値産業の不足と人手不足」という内生的な産業・金融構造こそが、物価高と実質賃金の伸び悩みを同時に生み出している本質的な要因です。
板橋区役所と板橋区議会は、表面的な議論ではなく根本的な構造問題を認識し政策の議論をしなければならないと思います。秋の議会での議論を注視し場合によっては、指摘したいと思います。
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