板橋区議会区民環境委員会(経済担当)で物価に対する評価を申し上げました。

 

この物価についてはCPIですが・・・

8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比上昇率が9カ月ぶりに3%を下回りました。

政府補助金の復活による電気・都市ガス代の下落が主因です。

 

19日発表の総務省のデータによると、コアCPIは前年同月比2.7%上昇と、前月の3.1%上昇を下回っています。

伸び率の縮小は3カ月連続となります。

 

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.3%上昇と、ここも伸びが縮小。3%台は5カ月連続となります。

そして19日、日銀はトランプ関税の影響などを見極めるため、政策金利である無担保コール翌日物レートを0.5%に据え置きました。

もうひとつの指標として基調的インフレ率も見て行かなければなりません。

 

2025年8月の日本の基調的インフレ率について日銀試算による基調的インフレ率(刈込平均値)は前年比2.2%となり、7月から0.1ポイント低下しました。

都区部では刈込率で少し数値が動きますが・・・

平均値は7月:+2.0%→8月:+2.0%となっています。

日銀の目標は2%なので東京都区部については、達成していると見る事ができます。

この数値を見ながら、支援事業については、適切かつ効果的な事業計画を戦略的に立て執行していかなければならず。

区民からお預かりをしている税金の使い方として適切な投資には、ならないと意見を主張しました。

 

【R6年東京都区部CPI】

物価に関わる背景は、様々な指標が複雑に絡んでおりもっと踏み込むとマインドも関係してくるので意見開陳にあたり、当陳情に対する判断のベースとなる根拠となる各種市況について説明させて頂きます。

本陳情は、令和6年度がベースになっていますので令和7年の現況との比較が必要です。

まずR6年1年間の東京23区の消費者物価指数は・・・

天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数がR5年1年間と比べて2.1%上昇しました。

上昇率はR5年の3%から0.9ポイント縮小しています。

 

総務省によりますと・・・

これは、政府による電気・ガス料金への補助が去年より縮小され、特に電気代が上昇したことなどが主な要因です。

また、食品の値上がりも続いていて「生鮮食品を除く食料」は3.7%の上昇となりました。

値上がり幅が大きかったものをみますと、夏場に品薄となった「米類」が27.1%、「チョコレート」が12.8%、国産の「牛肉」が6.3%などとなっています。

後半は、政府による電気・ガス料金への補助がいったん終了したことなどで、上昇率は前の月よりも0.2ポイント拡大しました。

【R7年現在の東京都区部CPI】

直近のデータとしてR7年8月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、速報値ですが・・・前年同月比2.5%上昇しています。

これは、政府による電気・都市ガス代の補助再開により、電気・ガス代が大幅に値下がり👆5.3%低下しました。

これが押し下げ要因となり、3カ月連続で伸びが鈍化しています。

更に見ていくと・・・

季節調整済値は総合で前年同期比マイナス0.3 生鮮食品を除く値は、マイナス0.1エネルギー・生鮮食品を除く値マイナス0.4ポイントとなっています。

CPIトレンド
CPIトレンド

<指数と上昇率(2025年8月分)を整理>

総合指数:前年同月比2.6%上昇

生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)前年同月比2.5%上昇

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)

前年同月比3.0%上昇

<主な変動要因>

押し下げ要因👉政府による電気・都市ガス代補助金が8月から再開され、電気・都市ガス代が大幅に値下がりしたことが、総合指数とコア指数の伸びを抑制しました。

他の品目の動き👉食品類は前月から横ばいで高止まりしている一方、一部のサービスや家具などの耐久財では伸びの減速が見られました。

👉エネルギー価格については、我が国は原子力発電を8.5%に抑えており、よって火力発電が68.6%です。

火力発電の内訳は、LNG(天然ガス)が32.8%、石炭が28.4%、石油が7.2%です。当然、エネルギー価格の上昇は、調達コスト高、特に為替の影響・地政学的な影響が主なファクターとなります。

今後の見通しでございます。

電気・ガス代の補助再開の影響が続くため、全国のCPIでも同様に上昇率の鈍化が見込まれます。

エビデンスとして、光熱・水道が8.8% 電気代が6.5%、都市ガス代が6.0%とそれぞれ低下しています。

夏場は電気使用量が増えるため、政府は引き続き支援を継続しています。

これは、一般家庭で電気・ガス合計で月1000円程度の負担減になるとみられます。

更に東京都は独自で水道の基本料金を無料にしており、水道料は34.6%低下しました。

こうした政策効果があらわれ、消費者物価指数の伸びは縮小したと分析しています。

次に一般的な賃貸住宅の家賃を示す民営家賃は1.7%上昇しています。

家賃はこれまで物価の変動があまりみられない岩盤品目の一つとされてきましたが、賃貸物件の建築費の上昇などで近年わずかながら上昇傾向が続いています。

都区部の中旬速報値は、生活実感に近い生鮮も含めた総合は2.6%の上昇となっており日銀の物価安定目標を持続的・安定的に実現できる方向に向かっているものと理解できます。

次に特に東京都区部のCPIに大きな影響を与えるファクターとなる

「為替」

【ドル円トレンド】は・・・

第二四半期に入り行ったり来たりしながらも円安ポジションです。

ドル円の推移
ドル円の推移

背景には・・・

  • トランプ関税に伴うアメリカの景気後退懸念。
  • FRBに対する利下げ👉0.25決定済
  • トランプ政権のドル安誘導への思惑。があります。

今後の見通しとしては、アメリカの動向次第で動く事になりますが・・・※FOMC Federal Open Market(連邦公開市場委員会)

日銀の金融政策次第では、金利差が縮小するので緩やかな円高基調に推移すると考えますが・・・

現在逆トレンドで円の信頼度が低く問題です。

 

板橋区議会第二回定例会本会議で私から先行きの見通しをお話させて頂きましたが、円高・原油安による燃料費の低下を受け電気・都市ガス代がマイナスに転じています。

ここまでは、私がお示しした指標が揃っています。

 

鈍化の背景には、全国の状況と同じくエネルギー関連の負担感の軽減がヘッドラインとコア指数の伸びを減速させている様です。

次に我が国のGDPはどうでしょう・・・

4-6月期速報値は、実質が前期から0.3%増え5四半期連続のプラスとなっています。輸出や設備通しが好調の様です。

年率換算値は、1.0%増です。

次にGDPギャップは4―6月期プラス0.1%となり2年ぶりにプラスに転じています。

GDPギャップとは、経済全体の供給力である「潜在GDP」と、実際の国内総生産(GDP)の差(乖離)を示す指標。このギャップは、国全体の需要と供給の過不足を示すもので、プラスの場合はインフレギャップ、マイナスの場合はデフレギャップと呼ばれ、景気の過熱や停滞、物価変動の要因となります。

これは、実に金額にして約1兆円の需要超過となっています。

OECDが23日発表した日本の成長率は1.1%と、前回から0.4ポイント引き上げられました。堅調に推移しています。

 

次に日本国債の状況ですが、売られています。

10年物の利回りが一時1.63まで上昇しており高水準に達しています。

30年物については過去最高水準に到達しており心配です。

この先は、日米の政策金利の行方が相場を大きく変化させるので、厳重警戒が必要と考えます。

特に我が国は、物価高騰対策として減税や給付を行う方向でありインフレ圧力をかけながら一方で金利を引き上げるアクセルとブレーキを同時に踏み込む様な事を実施する様子で実質金利はマイナス状態が続くでしょう。

 

【リスク要因】

展望にはいくつかのリスクが存在します。

<世界経済の減速>

米国や中国の景気後退は日本の輸出に直撃します。

<金利急騰リスク>

国債市場で需給が崩れると長期金利が急上昇し、財政や金融システムに不安が広がる可能性があります。

<円安ポジション>

輸入コスト増によるインフレ悪化と家計負担の増大につながります。

<地政学的リスク>

台湾海峡や中東情勢の悪化はエネルギー供給に打撃を与え、日本経済の安定を脅かします。また、現在ヨーロッパ方面の航空機は、ロシア上空を迂回して飛行しておりその分時間がかかっています。

<国内改革の遅れ>

少子化対策や規制改革が遅れれば、潜在成長率は上がらず、中長期的な停滞が続く可能性があります。

👆ココが一番の問題。

 

👆最後に諸問題のまとめです。

総じて、日本経済はデフレ脱却という長年の課題を克服しつつある一方で、人口減少、財政負担、国際リスクといった新たな試練に直面しています。

短期的にはインフレと金利上昇を伴いながらも、企業の競争力強化や賃金上昇がしっかり執行できれば一定の成長が見込まれます。

ただし、真に持続的な成長を実現するためには

構造改革と社会の変革が不可欠です。

人口減少を補う労働力確保、教育やイノベーションへの投資、財政健全化といった課題にどう取り組むかが、今後10年の日本経済を決定づけるでしょう。

私たちが直面するのは、単なる景気循環ではなく

「時代の変化への対応」です!

日本経済が新しい成長軌道に乗れるかどうかは、政策と民間の挑戦、そして国際社会との関わり方にかかっています。

板橋区政における産業経済政策とりわけ「板橋区産業振興構想2035」では、デジタル施策を軸に知の集積や新産業を育てていく事が必要です。

更に支援=投資と捉えROI(Return On Investment投資利益率)を見ていく必要があります。

※ROIとは、投資した費用に対してどの程度利益が出たのかを表す指標です。

数値が高ければ高いほど効率的な投資ができている証となり、ビジネスではさらなる投資を行うかの判断に重要です。

この様に事業所を支援する際には、経営戦略を見据え判断しなければならないと考えます。

本当にどの分野に投資し稼いでいくのか?はっきり構想で示す必要があります。

支援については、税金なのでデータに基づき、区民が納得できる判断基準で積極的に実施する様に変えていく必要がると考えます。

この際、マーケットに直接真水を注入する様な施策で、さらなるインフレプレッシャーをかけるのではなく、基幹事業のみならず「投資分野」も含めた各事業所に稼ぐ力をつけて頂く丁寧かつ戦略的な経営改革支援が必要です。

地元事業所の支援については「税金」なので基礎データに基づき、区民が納得できる判断基準で積極的に実施する様に変えていく必要がると考えます。

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