【プレミアム商品券やポイント還元事業の効果】
本調査では、スポット実施と恒例事業とでは、アウトカムが異なりますので、2つの視点から各種調査・分析データを読み解きながら効果について考察を記したいと思います。
【1】瞬間風速を吹かせる事により期間中一定の売り上げ上昇をたたき出す事は、可能と考えますし、区が行ったアンケート結果でも実に77%の事業所が期間中の売り上げ増があったと回答しています。
スポット事業としては、一定の成果が上がっています。
【2】「物価高騰」だけを抽出するとCPIが下がるまで通年実施しなければならずこれでは、財政が持ちません。
また、区内経済の活性化とは、持続可能な経営・事業展開にもって行かなければなりませんので、瞬間風速を吹かせるだけでは、活性化に全く繋がらないと言う評価ができます。
【3】プレミアム付商品券を複数年実施したとしても消費喚起率には、影響がない事が確認されています。
また、特定の品目の中には、一定のプレミアム率を超えると消費喚起額が抑制されるメカニズムもあると確認されています。
内閣府地方創生推進室の報告によるとプレミアム率の高さが消費喚起額の大小に必ずしも影響しないとの評価があります。
次に所得における購入行動の分析データもあります。
それは、低所得層ほどプレミアム商品券を購入していないこと、高所得層ほど期待する「最低プレミアム率」が低いデータもあります。これは、大きな課題だと思います。
低所得層が購入しやすいメカニズムを構築しなければならず本事業の欠陥とも言えると評価します。
【4】これら還元事業の源資は、税金で現金ですから「ヘリコプターマネー」とも言えるかと思います。
物価高騰対策として実施していますが、マクロ経済の理論では、物価を押し上げる政策にもなるわけです。
また資本主義経済下では、市中にばら撒かれたキャッシュは、稼ぐ力のあるところに集まりますから貧富の格差を進行させる作用もあります。
【まとめ】
上記目的を達成し税金投入の効果・成果を上げるには👆
➀瞬間風速を吹かせ消費者を商店へ呼び込みます。
②各個店は、消費者から継続的に支持されるマーケティング戦略を立てる。
③板橋区役所の支援は、消費動向や経営戦略支援を行いキャンペーン期間に備える。
簡単に示すとこの様な事業展開に変更すると区内消費が好循環に動き出すものと考えます。
したがって、現段階では高評価とは、言えない事業であると結論づけます。
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参考文献
石原俊之先生「複数年実施した場合のプレミアム付商品券事業の消費喚起効果」※査読付き論文
後藤晶先生「プレミアム商品券の経済行動:購入判断に対する社会経済的要因に着目して」