朝から寒い一日でしたね😮

さて、今回は…

いよいよ今年も寒い冬が間近に近付いてまいりました。

私たちの体は、寒いと血管が収縮して手足が冷たくなり、やがてガタガタと震えを起こして熱を作り出そうとします。

これは誰にでも起こる生理的反応ですが、このとき皮膚が寒さを感じると真っ先に収縮して体温調節に貢献する特別な血管があります。

今夜は、その特別な血管の仕組みを知って、冷えを防ぐお話から。





🙄手足の冷えを防ぐ6つのコツ

その特別な血管とは、動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう:Arteriovenous Anastomoses、以下AVA)と呼ばれる血管。

このAVAの仕組みを知って、冷えを防ぐコツについて、AVAと体温調節について研究をしている医学博士でもある大学教授から教えていただきましょう。
 

🙄体温調節を担う血管とは?

「通常、心臓から送り出された血流は、動脈の太い血管から末梢の毛細血管まで及び、静脈を通って心臓に戻っていきますが、毛細血管に枝分かれする前の動脈と、静脈とを直接つなぐやや太い血管がその特別血管AVAです。

AVAは、皮膚では手足の末端、顔の一部だけに存在する特殊な血管。

手の場合、甲側ではなく、手のひら側にあり、足では足裏と指、顔では耳、まぶた、鼻、唇と、皮膚の薄い末梢に多く、皮膚表面から約1mmと毛細血管より少し深いところに1平方センチ当たり100~600個存在します。

拡張したときの直径は毛細血管の約10倍。

つまり、流体力学の法則から流れる血流量は1万倍にもなります。

一方で、完全に閉じると血流量はゼロになります。

全身にある毛細血管は細胞に酸素や栄養を運ぶのが役割ですが、AVAにはそうした役割はありません。

AVAは体温調節が仕事で、拡張して胴体部分から、熱を奪われやすい末端部分へ熱を運ぶことができるように、末端に多く存在しています。

ただし、寒さが強くなると、AVAは収縮して末梢への血流を減らし、そこから熱が逃げるのを防ぎます。

脳や心臓など生命維持に必要な体の中心部の温度を保つことを優先するためです」と教授は話します。

そもそも腕のように胴体から飛び出したところや手足の指、鼻、耳のように凹凸があるところは、容積に対する表面積の割合が大きいため、広い面積から多量の熱が空気中に放散されて冷えやすい。

そのときにAVAが開いていると体の熱が手足の血流を通じてどんどん奪われてしまうのです。

そんな事態を防ぐため、寒いときにはAVAが収縮して末端への血流を減少させることで、体の熱が手や足を通じて逃げるのを防ぐのです。

冬に手先や足先が冷えて困るのは、それらの部位を犠牲にしてでも命を守るための生物としての賢い反応だったのですね

さらに、動脈からAVAに入り、そこを通過した血流は、静脈を通る間にも、腕全体から熱を逃がすなどしながら心臓に戻り、体温を調節していることも分かっているのだそうです。

「暑いときは皮膚表面に近い静脈を通って積極的に熱を逃がしながら戻り、寒いときには動脈と接する深部にある静脈を通ることで、動脈の熱をもらいながら温まった血液が心臓に戻ることで、うまく体温を調節しています」と教授はいいます。

AVAは全身の体温調節のトータルバランスの中で、快適な温度より暑ければ開き、寒ければ閉じるという、私たちが意識しないところで微妙な感覚を感じ取り、体温を緻密にコントロールしているのです。


🙄AVAの反応には個人差がある

ちなみにAVAの収縮・拡張の反応性の違いには個人差があり、冷え症の人とそうでない人の差につながります。

「実験をしてみると、冷え症だと自覚する人は反応性が高く、誰もが温かいと感じる温度から少し低くなっただけでも寒いと訴え、実際に血流を測ってみると早い段階からAVAの収縮反応が起こり、血流が低下することが分かりました」と教授はいいます。

同じ温度でも、人によって収縮が起こる段階に個人差があるというわけです。

この個人差の要因としては様々なものが考えられますが、腕や指、足が細く長いといった体格(容積の割に表面積がどれだけ大きいか)と、皮下脂肪や筋肉の量が大きな要因を占めるのだそう。

教授によれば、皮下脂肪は断熱材。

皮下脂肪が多いと熱がなかなか逃げていかないので、AVAが拡張し、手足など末端の血流を増やしてそこから熱を逃がそうとします。

そのため脂肪の多い人は手が温かい傾向がある。

逆に脂肪が少なくやせている人は、もともと胴体から逃げていく熱量が多いため、わざわざ手足に血流を増やす必要がなく、少し温度が下がっただけでAVAが閉じるため手足が冷えやすいのです。

「体格などの要因に加えて、服装との組み合わせで冷えを感じるかどうかは変わってきます。

毛皮で覆われている動物と違って、人間は衣服で調節することができますから、自分の体形では何度くらいのときにAVAが開閉するのか(手足の冷えを感じるのか)を意識して、服装をうまく工夫してみてください」と教授。


🙄首元から全身を温め、AVAの収縮を防ごう

という事は、AVAの働きをうまく活用して、その収縮を抑えるようにすれば冷えを効果的に防ぐことができそう。

あくまでも全身の体温調節のトータルバランスの中で開閉するAVAは、手先などを部分的に温めても開かないため、全身の体温をいかに効率よく上げるかを考えるとよいそうです。

そこで次回は、その具体的なポイントをみていきましょう。