地獄での供養 サウルの息子 | Mの国より愛を込めて

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収容所の作業員として同胞の処刑に携わっていたサウル。
そんな折一命を取りとめ程なく死亡した少年が自分の息子と認識。
そしてサウルは少年をちゃんと供養しようとするが?









公式サイト


観賞日 H28.3.12
映画館 キネマ館

PG12対象



全裸描写


20世紀としては最大規模の戦争となった第二次世界大戦。
その中でも最大の悲劇となっているのはユダヤ人の大量虐殺。
ナチスを率いたヒトラーがユダヤ人が大嫌いだったということもありますが、流石にやり過ぎというか・・

本作はそんなユダヤ人の虐殺を題材とした作品。
そして一風変わっているのが、その虐殺に従事していたユダヤ人が主人公ということ。
自分たちの手で同胞が虐殺されていく光景は地獄以外の何者でも無かったでしょうに。

なお、本作はカンヌ国際映画祭でグランプリを、アカデミー外国語映画賞を受賞しています。

本作のポイントは供養。
ナチスがユダヤ人を虐殺する中、ユダヤ人ながら作業員として従事させられ最後には処分される運命のゾンダーコマンド。
その一人だったサウルは毒ガスで殺された同胞たちを運び出していた最中、一命を取りとめた少年を見つける。
程なく少年は絶命させられるがその少年が自分の息子と感じたサウルは彼をきちんと供養することを決意。
供養するためユダヤ教の司祭ラビを探すが困難を極める。
一方、処分が迫ったゾンダーコマンドたちに蜂起ほ機運が高まっていた。

果たしてサウルは息子を供養することが出来るのか?

本作で面白のは常に場面の中心にサウルがいること。
カメラはずっとサウルについて周り、サウルが居ない場面展開は有りません。
それだけに彼の苦悩と彼が見た地獄がより感じ取れる形となっています。
同胞を処刑するのに疲れた表情から息子の供養という目的が出来たときの目の輝きも特徴的です。

本作の見所は冒頭、ゾンダーコマンドの仕事。
静かな始まりから同胞を毒ガス室に送り込み、死体となった彼らを運び出し部屋を清掃する。
その一連がほぼノーカットのように流れていきます。

気になった点はサウルの行動と蜂起がかみ合っていないこと。
サウル自身は息子の供養で頭が一杯だけど、いつの間にか蜂起に片棒担がされている状況。
サウルとしては蜂起なんてしったこっちゃ無いような?

ユダヤ人の大量虐殺を題材としているだけに、全編を通して絶望と恐怖に覆われている本作。
後半の処刑シーンなどまさに地獄絵図の状況。
それだけに終盤、あるものを見かけたサウルの表情がとても印象的になっています。



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ユダヤ人の大量虐殺を指揮したアイヒマンの裁判を傍聴したユダヤ人哲学者を題材にした作品。
悪の凡庸さは今でも通用するけど、人によっては受け入れがたいかも。