西式健康法ワンポイント解説

 

²  金魚運動

今回は六大法則の「金魚運動」の実施上のコツなどについて解説します。

「金魚運動」とは、文字通り魚が泳ぐときの背骨の動きを再現する運動です。魚類だけでなく、ほとんどの脊椎動物は歩行など移動の際にはこのような背骨の動きが生じます。これは、動きが生じるというより、動くように作られていると考えるべきでしょう。

 人間も、自然の起伏に富んだ凸凹のある地形の上を歩いていれば、重心バランスを取るために、直立姿勢の状態背骨をうねらせるような動きをさせることになります。しかしながら、生活上の利便性のため、日常的な生活圏がほぼ平顔になってしまった現代都市生活では、この自然な背のうねりがほとんど起こらなくなってしまいました。

 このような、背骨のうねりが日常的に起こるような生活をしていれば、背骨のうねりがほとんど起こらなくなってしまいました。

 このような、背骨のうねりが日常的に起こるような生活をしていれば、背骨の歪みが生じることもありませんが、かと言って金魚運動さえ実行していれば、背柱の歪みが正されてくるということにもなりません。

 ではなぜ金魚運動を実施すべきなのかというと、背柱が歪んでいることによって起こる脊髄、脊髄神経の機能低下を補ってくれるからです。

●金魚運動が必要な理由

 背腹運動は、直接的に背柱の歪みを矯正することを目的としていますが、金魚運動は背柱がゆがんでしまったために起こる、神経機能を補う作用があります。また、その他にも、胃腸など消化器官の働きを補助する作用も重要な目的です。

 脊髄とそこから枝分かれした脊髄神経を正常に働かせるため、それら神経組織が必要とする栄養成分の補給は血管からの血液だけでなく、脳脊髄液を通しても行われています。

 この脳脊髄液はリンパ球のような成分の液体で、脳の中で血液から造られ、脊髄の周囲を循環して、また脳のてっぺんの部分から静脈血管へと流れ出て行くのですが、現代生理学では未だその循環に起こるメカニズムは不明とされています。

 現代生理学のうえで循環原理を説明できないからといっても、実際に脳脊髄液の循環は生じている訳で、その循環を生じさせているか、少なくとも循環を補助する働きの一つとして、脊柱のうねりのような動きによる物理的な作用も関与しているものと考えられます。

 重力の影響で戻り切れない下肢の血液を心臓まで汲み上げるために、足のふくらはぎの筋肉収縮、弛緩を利用した筋ポンプ作用があるように、生物の動作には基本的には無駄はないものです。あまり歩かない人や、歩いていても平面ばかり歩いている人は、日常的な背骨のうねり動作は不足していることになる、つまり、脳脊髄液の循環が完全ではないために、神経機能も低下しがちになるということになります。

 さらに脊柱に歪みがあると、脊髄神経の出口となる椎間孔が神経鞘に接触して狭窄が生じますから、その狭くなった部分には十分な成分補給を行うことができなくなり、一層神経機能が低下することになります。

 脊髄神経系統は、内臓の状態を脳に報告する重要なルートであり、脳は内臓に対して働きを指示しますから、神経の導通が完全な状態でなくなれば、内臓機能はそれなりに低下することになります。脊髄、脊髄神経が正常に機能しなければ、それだけでも簡単に病的な状態に陥ることもあるということです。

●実施上のポイント

1.    運動をおこなう場所

必ずしも平牀上で実施しなければならないということはありませんが、スムーズな動きの金魚運動を実施するためには適度な摩擦も必要で、そういった点から平牀が理想的であるとは言えます。基本的に畳の上での実施は問題ありませんが(注・畳の方向によってもかなり摩擦係数が異なりますから、畳の横目方向に動かすようにしてください)、毛足の長いカーペットでは摩擦が大きすぎますし、あまり滑りやすいフローリングでは摩擦が弱すぎて、やはり実施がすこし難しくなります。

2.    基本姿勢

 背中全体がぴたりと平らに床面につくように仰臥します。(注・うまく実施できているかどうかを見ようと、頭部を持ちあげるようなことはしないでください。背骨に曲がった部分ができるとその周辺の動きが悪くなってしまいます。背中がアーチ状に持ちあがった状態でも同じことになりますから、背中全体が床面にぴったりと接触するようにしてください

ロ 両手を首の後ろで(注・手を組んで支えるのは、後頭部でなく首です。手のひら(掌)の中心に頚椎の4番が来るような位置となります)、指の股同士が接触するようしっかりと深く組みしっかりとくんだまま、肘を広げながら床面と水平になるように広げます。できるだけ組んだ指が緩まないようにしてください。(注・組んだ指の背は床面からわずかに浮かせてもかまいませんし、軽く接触した状態でもかまいませんが、まったく力を入れない状態だと指の床面の摩擦が大きくなり過ぎます

ハ 足のつま先を手前側に向け、つまり足首がぶらぶらしないようにします。

ニ 最後にもう一度、頭部から尾てい骨まで背骨全体が床面に接触するような姿勢を整えてください。

3.    運動の実施

腹部を左右に揺らします。その際には、腰と床面が擦れることがないようにしてください。腰と床面は接触しているだけで、床面と腰部が擦れることはないということです。

 腹部を左右に揺らす動きが、上体、下肢に自然なうねりとして伝わっていく動きであって、腰を「くの字」に交互に曲げる動作ではありません。

 腹部を揺らすペース、速度を文書で表現するのは難しいのですが、時間当たりの回数で表現すれば一分間に120150回位ということになりましょうか、うんとゆっくりでもなく、早く泳ぐという感覚でもないということになります。

 椎骨間の感覚が狭い胸椎(肋骨のつながった椎骨。頚椎と腰椎の間の12個の椎骨)部分にうねりの動きを起こさせるのが目的ですから、腰は曲げず、また首もぐらつかせないようにします。

 腰椎、頚椎は現代の日常生活でもそれなりに動かしていますから、日常生活ではほとんど動かすことのない、胸椎部分をうごかしてやるのだということを自覚しながら行って下さい。

 実施時間は、1回あたりは2分程度です。戦前などであれば、まだ未舗装の道路も相当存在しましたし、ほとんどの方が相当量の歩行をしていましたから、12回おのおの12分程度の実施で良いとされていましたが、平均現代人ではそれでは不足であると考えられます。できることならば、145回は実施したいものです。

●消化器官に対する補助運動として

  金魚運動には消化管の働きを補助する効果もあります。四足動物は小腸、大腸の消化管がほぼ平面上に配置され、消化管内の内容物の流れには重力に逆らう部分がありません。また、歩くと腹部が上下に動き、消化管内の内容物の移動を補助する作用もあります。

 しかし、人類は直立状態で過ごす時間が長いため、腸は重力の影響で狭い所に押し込められ状態となり、消化管の働きが低下しがちです。

 そこで、重力の影響を受けない仰臥位状態で腹部をゆすってやることによって、消化管の働きを補助します。

 腹腔内の炎症(中垂炎等)も金魚運動で抑えることもできるとされていますし、開腹手術後の腸の癒着も、炎症が起きていても常に患部さえ動いていれば癒着しようがありませんから、開腹手術後およそ24時間程度経過して、傷口が開く恐れがなくなったら金魚運動を実施すれば、術後の腸閉塞等の予防にもなります。(注・安静にしているべき時間は手術内容によって異なります。背部の留置針が外され、酸素吸入の必要もなく、また、主治医より歩行指示が出れば金魚運動を開始しても良いタイミングと考えてください

 腹部のための運動として行う場合には、背骨のための運動のようにしっかりとした姿勢を取る必要はなく、大小腸さえゆすられて動いていれば良い、ということにこだわらず、やりやすい方法で実施して構いません。また実施時間もとくに制約ありません。

 

紹介者からの一言

 人間の元々の体が、お魚から進化したので、運動の一つに、お魚運動を取り入れないのは、片手落ちですね。

現代の運動はヨガが基本となっていると言われています。しかし、ヨガの本のどこを見ても、金魚運動は載っていません。ヨガの運動には金魚運動がないのです。毛管運動のゴキブリ運動もないのです。

ヨガの運動の本を眺めると、どれもこれも、重力と拮抗している運動のように見えてきます。つまり、逆立ちは、重力の方向と逆の体制、体を極端にひねくりまわし、一本足で立ち、訓練をしなければできない運動ばかりです。つまり、自然に逆らっているようです。だから、ヨガをやり過ぎて短命になる人が多いのでしょうか?

私はストレッチヨガが健康に良いと思って、通っていましたが、そこはハードなので、止めました。今では一週間に一回、私の友達のゆったりヨガに通っています。その友達のヨガはゆったりヨガなので、終わっても、運動したのかな?の感じです。体に負担がないのです。そして、横になりながらのヨガが気に入っています。フェルデングクライスを御存知ですか?今はそれが気に入っています。寝ながらの運動は、寝たきりの方にお勧めです。

金魚運動やゴキブリ運動も寝たきりの運動です。重力と遊んでいるように思います。世界には見当たらない運動ですね。