コウノドリ テレビドラマ 第6話 まじめなほうの話 | 更新は全然頑張らない備忘録@フランス語圏スイス

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自分が後で振り返って「あ~、あの時はこうだったんだ」と思い出すための備忘録のようなもの。
海外生活、持病(婦人科疾患やアレルギー)、高齢出産、育児、子供の受験などのつれづれ。


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第6話は厳しい物語でした。

冒頭から、産科特有の「蛇口から水が吹き出るような大量出血=産婦の死に直結」を止める最後の手段としての子宮全摘。

43歳の妊婦。既往症:2年前に子宮筋腫摘出手術のため子宮にメス。不妊治療を経て待望の妊娠
→ 子宮破裂のため、胎児死亡。妊婦も大量出血のため、子宮全摘。

そして後半に登場する43歳の妊婦。不妊治療の末、妊娠。妊娠高血圧症のため早めに帝王切開。無事に胎児を取り出した後、事態が急変。大量出血がどうしても止まらない。押さえても押さえても噴き上げる血。緊急輸血のため走り回るナースたち。なぜ妻の手術が終わらないのか、と廊下で不審がる夫。ついに子宮全摘に踏み切りますが、それでも出血はなかなか止まらない。羊水込みで10リットル!絶体絶命><。
最終的には産婦人科医3名、麻酔科医1名、大勢の看護師たちが力を尽くし、更に救命救急の医師1名の応援を得て、出血は止まり、母親はなんとか命を取りとめます。
「私、生きてて良かった」

これ、昼間(=人手の多い時)だったから出来たことですね。休日や夜だったらまず助からなかったでしょう。
予定帝王切開は平日の昼間というのは、ちゃんと理由があるのです。


にしても・・・・ヒトゴトじゃないよ~~~><。

今からちょうど5年前の12月、つわりでのた打ち回っていた私。
44歳の妊婦。既往症:2年前に子宮腺筋症核出術のため子宮にメス。腹腔鏡での婦人科手術歴3回。
2年前の手術の執刀医に「もし妊娠できても子宮破裂の危険が高い。出産は絶対に帝王切開で」と言われていることをスイスの産婦人科で伝えました。
ところが、最初の医師には「自分が執刀したわけじゃないから見てないけど、心配無いw。帝王切開なんか必要無い」と鼻で嗤われました。
「赤ちゃんも、私も、殺される?」と不安になり、すったもんだの末に主治医変更。4年前の夏、38週に予定帝王切開で長女ガルを生みました。

手術開始時刻は午後1時。(麻酔開始はさらに30分前)
帝王切開は部分麻酔ですから、胎脂で全身がべっとりと覆われて真っ白な赤ちゃんが取り出されたのを見ました。産声も聞きました。
でも、その後の処置の途中で胸がすごく苦しくなって、ブラックアウト。
目が覚めたときは回復室にいました。午後5時を過ぎていました。病院には母や長男ザーも来ていたはずですが、ベッドの隣には夫だけがいました。
出血が多かったそうで、真っ赤なパック(鉄剤だそうです)をいくつも点滴されました。

この2日後、検温などのために病室に来てくれた看護師さんから「私、あのとき、手術室にいたの。すごい出血だったけど、フラフラしたりしませんか?大丈夫?」と声をかけられました。

あー、私の出血量、どれくらいだったんだろう?確認しておけばよかったです。

入院中、いきなり歯の根が合わないくらいの寒気に襲われて、血圧がいつもの2倍になったこともあったっけ。あれはもしかして、大量に失血したせいだったの?

ちなみに、私は事前に「子宮を残すことにはこだわらない。医療上必要なら子宮を摘出して構わない。」と伝えていましたが、子宮は残りました。


そう。妊娠・出産は命がけです。

けれども、現在の日本の周産期妊産婦が亡くなる確率は10万人あたりでわずか5~6人。世界でもトップクラスの救命率だそうですから、一生に一度も「妊婦さん死亡」に遭遇しないですむお医者さんや助産師さんもいらっしゃると思います。
また、妊婦も、家族も、「母子ともに無事で当たり前」という気持ちになっています。
「命がけ」だということをほとんどの人が忘れてしまいました。
(そうじゃなかったら軽々しく他人に「赤ちゃんはまだ?」「子供は作らないの?」「一人っ子は可哀想、頑張ってきょうだいを」なんて言わないですよねえ)

それだけに、「不幸な結果になった」ときの家族の悲しみや絶望、怒りは大きく、「母子ともに無事で当然なのに、不幸な結果になったのは、医療過誤があったからに違いない」と訴訟になる確率は高いそうです。

ドラマを見ていて、ああ、これはあの「F島県立O野病院産婦人科事件」を念頭に置いているんだなあ、と思いました。ドラマでは、お母さんは助かったけれど、あの「事件」では・・・

お医者さんは現実のいろいろな制約の中で精一杯力を尽くしたけれど妊婦さんは亡くなってしまった。
(ドラマでは医師だけでも産婦人科3人+麻酔科1人+救命救急1人の合計5人が協力しましたが、現実の事件では、手術室にいた医師3人のうち、産婦人科専門医は1人だけでした。もちろん、手術には執刀医・助手・麻酔医、3名の医師が必要ですが、その病院に産婦人科医はたった1人だったからです)

喜びに満たされるはずだったのに、なぜ妻が?娘が?母が?と諦めきれない遺族の想い。

遺族に対してせめてお金の補償だけでも、という「善意」から医師の過失を認定した事故調査会。(無過失では補償金を支払うことができないから)

ほら、やっぱり過失があったのか、だから妻は死んだのだと「業務上過失致死罪」で担当医を訴えた遺族。

裁判所の判断は「無罪」でした。医療側に「過失」は無かったのです。
けれども、帝王切開を受けた女性は亡くなってしまった。本当に、誰のせいでもないのですが。

「あれで刑事事件になってしまうなんて!そんなリスクの高い産科医療はもう続けられない」と各地で産科が閉鎖に追い込まれ、「医療崩壊」のきっかけになったと言われている事件です。

ドラマで院長が二言目には「訴訟は困る」と繰り返すのも、おそらく、5年前の妊婦死亡事例(テレビドラマの第3話で、回想)で、訴訟になりかけたからでしょう。

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