どもです。
先週はお産が立て込んでいたのに、今週は全然産まれません。
陣痛室が空で暇してます。

当直明けだし、帰っちゃダメ?

なーんて思いながら、いそいそとブログを更新します。

前回のブログ赤ちゃんの情報は誰のもの?(1)で、近年エコーの機械の解像度が上がり、臨床上いろいろな問題点があるということまでお話しました。

まず一つ目の問題点として、ますます医師と妊婦の意識の差が開いたと言えると思います。

マタニティ雑誌には可愛い赤ちゃんの3Dエコーの写真が載り、それを見れば妊婦さんは「私も赤ちゃんの顔が見たい」と思うことでしょう。実際は、赤ちゃんの顔の周りに手や臍の緒や胎盤があることが多く、雑誌に載っているような写真が撮れる頻度は高くないです。
(まあ3Dの機能がついてないエコーも多いですしね。ちなみに3Dエコーはあまり臨床に使われてないというか、赤ちゃんの健康という面での役にはまだ立っていません。)
妊婦さんにとってはエコーがますます楽しみなイベントになっていると言えるのではないでしょうか。

医師にとっては、エコーの解像度が上がって細かいものがよく見えるようになった分、チェックポイントが増えました。例えば首から上にしても、頭の幅や周囲の長さ、側脳室や小脳の大きさ、小脳の後ろの空間の広さ、鼻、目、唇、口蓋、顎・・。見ないといけないもの、出来れば見ておきたいものは沢山あります。(もちろん、毎回ではありませんよ。1回くらい見ればいいです)

超音波外来と妊婦健診を分けている病院では、妊婦健診とは別の日に比較的ゆっくり時間を取って細かく見ることが一般的に可能です。
が、妊婦健診の中ですべてのエコー検査を行っている場合は、妊婦健診の持ち時間には限りがありますので、全項目をチェックしさらにサービスで赤ちゃんの顔を見せてあげるというのはかなり実現出来にくいことだと思います。

二つ目の問題点として、エコーの精度が上がって、いろいろな赤ちゃんの病気が胎児診断できたということが論文や学会に発表されたり、一般に知れ渡るようになって、

病気があれば、当然お腹の中で見つかるよね?

と思っている妊婦さんやその家族が増えたということがあります。口に出して言われる方も時々います。
もちろん、超音波の検査は100%ではありません。妊婦さんでも100%だと思っている人のほうが少ないでしょう。超音波で分かる異常は全体の半分くらいと言われています。(何をもって全体とするのかも難しいですし)

でも、実際に赤ちゃんが産まれてから何か病気が見つかった場合、

「妊娠中は何も言われなかったのに」
「どうして妊娠中にはみつからなかったの?」

と赤ちゃんのお母さんや家族が言うことは珍しくありません。
もっと言えば、9ヶ月や10ヶ月になってから赤ちゃんの病気が見つかった場合に、

「なんで今までの検査では分からなかったの?」

と言う方も。
(それまでも病気としてはあったのだけど見つかりにくくて、臨月近くになって羊水の量が明らかにおかしくなってから発見されるということは珍しくありません)

私だって10年の臨床経験しかありませんが、病気を見つけたこともあれば見つけられなかったことも沢山あります。

早く見つけていればそれを治せるのかと言えば、ほとんどの場合はそうではありません。病気によっては新生児科や小児外科のある大きな病院で産んでもらいますが、普通の産院で生まれてそこから大きな病院に送っても生死に関わることは頻繁ではありません。

見つけられなかったことを責められたから何?と言えばそれまでかも知れないのですが。(余程でなければ裁判沙汰にはならない&なっても負けないので)
医師の方にも「何で見つけられなかったんだろう」「注意してみたら見つけられたのではないか」と思うところがあるので、それを妊婦や家族に言われるとすごく心に染みるのです。
もちろん、分娩前に見つけて大きな病院に妊娠中に転院してもらう方が赤ちゃんにとってはいいことですし。

なので、エコー検査を行う場合にとても慎重になってしまう場合があります。


慎重になって何が悪いの?
情報が多いのはいいことじゃないの?

次回に続きます。



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