源姓の方は、くだけたりさけたり・・という歌が印象的で・・・。![]()
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな 源 重之
わかりやすいと言えば分りやすい歌です。
「風をいたみ」の「いたみ」は、激しいので、という意味。「風が激しいので」となります。
「くだけて物を思ふころかな」 は当時よく使われた言い回しだったようですが、「くだけて」は「心を砕いて」、「思い乱れて」というような意味になります。
「風をいたみ岩うつ波の」までは比喩の序詞で、下の句の「くだけて物を思ふころかな」に続きます。
風が激しいので、岩にあたって波が砕けるように、私だけが、冷たいあなたの様子に心砕け、思い乱れているのだなあ…。
というような意味になります。
ここでいう岩は、つれない女性がたとえられていて、そこに何度も当たって砕けている波の様子が、男性の恋心に例えられているんですね。
どれだけつれなくされたんですかね・・・。![]()
何度も何度も打ち付けては砕かれている…という感じですから、相当頑張ったんでしょうけどね。
…まああんまり頑張りすぎるのも、かえって引かれたりしますしね…難しいですね。(;^_^A
でも岩にあたって波が砕ける、なんてダイナミックなたとえを持ってきたことで、男性の一生懸命さや必死さみたいなものは感じられます。
また、いたみ、なみ、おのれのみ、と「み」を重ねて調子を整えることで、リズムを作り出して読みやすくしています。
どうやらこの歌にはもとがあるらしく、伊勢の詠んだ歌にそっくりな歌があるようです・・・。
偶然、じゃあない、んだろうなあと思いますが…。
ちなみに、私はこの歌を見ると、つい源実朝の歌
大海の 磯もとどろに寄する波 割れて砕けて さけて散るかも 源実朝
という歌を思い出してしまいます。
どっちも源姓なんですよね…。
こちらの方がより激しいですけど・・・。![]()
実朝というと、鎌倉時代の悲劇の人ですが、それにしても源姓の人の歌は激しいなあ・・・と。じゅ
さて、実朝は悲劇の人でしたけど、この作者源重之はしういうわけではないようです。
結構しっかりと出世もして、また歌人としても三十六歌仙の一人に選ばれるなど、どちらかというと恵まれた感じがします。
ちなみに百首歌というものを最初に解体のは重之だとされています。
歌人としても、認められていたわけです。
たまにこういう恵まれた人もいるんですね・・・。