あんまり涼しくない・・・(苦笑)
なんだかどんよりしている分、もわっと指数が上がっている感じです。![]()
確かに汗だくになるような感じではないけれど…やっぱりどんよりしているのは嫌ですね。
でも、確かに雨降っている空の感じを見ると、夏の雨じゃあないなと言う感じがします。
ちょっと重たい感じがするんですよね。
九月の雨ってこんなに重たかったっけ…と思って、ふと思い出したのが「September in the rain」
ふる~い歌ですけど(苦笑)、アレンジされてピアノ曲で時々流れていたりします。
この曲を思い出したのにはわけがあって、佐藤多佳子の「サマータイム」という小説の姉妹編で出てくるんです。
「サマータイム」は四季のピアニストたち というシリーズの代表作で、大好きな本の一つです。![]()
かなり強烈な個性を持っている伊山姉弟(佳奈と進)と、事故で父親と片腕を失った広一を主軸に、それぞれの視点でつづられていく短編集。
もともとは「サマータイム」が軸なんですね。これが伊山姉弟と、広一の出会いから少年期のほろ苦い思い出、そして少し大人になった彼らの再会までが描かれています。
これだけでも十分面白いんですけど、子供のころの姉弟の関係が佳奈の視点から描かれている「五月のみちしるべ」(春)
、
同じく佳奈が主人公になっている、広一と別れてから少したった彼女と彼らの気持ちを描いた「ホワイト・ピアノ」(冬)、![]()
そして伊山姉弟と別れてからのその後の広一の様子が描かれた「九月の雨」(秋)![]()
と、どれもとても面白いんです。
そして全部通して読むと、より「サマー・タイム」が面白くなるという、実によくできた本。![]()
個人的には、実に複雑な少女の気持ちを、ちょっとシビアにでも切なく描いた「ホワイト・ピアノ」が好きなんですけど、どれも秀逸です。
ホワイト・ピアノに出てくる調律のセンダくんっていう憎めない人物がお気に入りなんです。(笑)![]()
あと、それぞれにテーマになる曲とピアノが出てくるんですね。「サマー・タイム」は勿論サマー・タイム。
で「九月の雨」に出てくるのがこのSeptember in the rain(九月の雨)なわけです。
話の内容は、どちらかというと「九月の雨」の方が重いんですけど、曲は「サマー・タイム」の方が暗いし重いんですよね。。
歌の歌詞の内容はともかく・・・。
でもよくよく考えてみたら、「サマー・タイム」は喪失と再会と再生の物語なんだなあと。ガーシュインのサマー・タイムも子守唄なので、そこから巣立っていくっていう意味では合ってるんだと。
「九月の雨」は、確かにテーマはちょっと重い感じですけど、広一の再出発の話だとすると、この曲のイメージに合っているかもなあと思いました。
ちなみに、「ホワイト・ピアノ」のテーマになっているのは「My Favorite Things」![]()
この歌も大好きなんですよね、個人的に。…だから「ホワイト・ピアノ」が一番好きなのかも…(苦笑)。
とっても面白い本です、「サマー・タイム」。
まだ暑くて読書も厳しいですけど(苦笑)、これからだんだんと秋らしくなってきますし、是非一度読んでみて下さいませ。![]()