おそらく名前はもっとも有名な歌人の一人の作品、
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む 柿本人麻呂
昔は「あしひきの」と濁らなかったみたいです。これは山の枕詞ですよね。
でもって「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」で序詞になっています。
ここで詠まれている山鳥はキジ科の鳥だそうで、オスの尾が長いんだそうです。
さらに、夜はメスとオスと谷を隔てて別々に寝るのだそう!だから「ひとりかも寝む」なんですね。
意味はわりとわかりやすいですね、
山鳥のオスは一人で寝るといわれているが、その山鳥の長い長い尾のように、長い長い秋の夜を、私も一人で寝るのか…。
というような感じかなと。
あしびきの~だと、普通は山って言葉が出てくるんですけど、あえて山鳥になっているところが、この歌の面白いところの一つだとよく指摘されています。
なるほどって思いますけど、それよりもともかく口ずさんだときの調子が良くて覚えやすいですよね。
それがすごいなと思います。普通これだけ「の」を繋げたら、逆にわけがわからなくなりそうですから…。
昔は恋の歌というと、こういうタイプの歌は女性視点が多かったらしいのですが、それをあえて男性目線でというのも珍しかったようです。
恋しい恋人を思う男っていうのもロマンチックでいいと思いますけど。(笑)
さて、作者の柿本人麻呂。多分名前はものすごく有名な人ですよね。
持統天皇に仕えた宮廷歌人で、三十六歌仙の一人とされています。![]()
万葉の和歌を完成させた代表的な歌人の一人とも。
が、実はものすごく謎だらけの人物だったりもします。・・・極端なところ実はいなかった説まで…。(;^_^A
宮廷歌人だったけれど身分が低くて、生没年未詳なことも、なぞに拍車をかけているようです。
よく言われるのが人麻呂=猿丸太夫という説。
あと、あまりにも謎だらけなので政変に巻き込まれたとか、無実の罪で罰せられたとか、実にいろんな説があるんですけど、どれも確証はないようで・・・
未だにとーっても謎な人物です。![]()
でも謎だからこそ、いろんなロマンが掻き立てられたり、より興味をもたれたりするわけで、このまま謎な人物ってままでもいいんじゃないかって思ったりします。
歌がすごいっていうところは、変わりませんしね。![]()
