ルミナスです。
前回の公正価値の評価の続きです。
前回の例で示したように、
公正価値や使用価値の算定は簡単にはいきません。
算定しないで良いというわけではありませんが(※)、
容易に認めてしまうと恣意性が入り、
利益操作にもつながる結果になります。
(※)こちらについても以前、
ブログ
で書きました。
不動産などは評価方法が何種類もあり、
どれを使うべきかという問題がありますし、
社外の専門業者に客観的な評価を依頼する手もありますが、
会社と業者が結託してしまえば意味がない。
過去にそんな話もあり、規制が厳しくなりましたね。
公正価値をそのまま受け入れると(※※)、
財務指標のボラティリティが高くなる傾向が出ますが
(※※)減損の場合は公正価値ではなく使用価値で評価します。
その結果として、結局のところ、投資家の短期的志向が
促進されてしまう結果にもなりかねません。
何でもかんでもとにかく公正価値評価、
ということでは、弊害が生じるのです。
そんな状況ですので、BS重視とはいえ、
資産評価については公正価値の信頼性のレベルを
しっかりと認識しつつ、合わせて損益(包括利益)を
性質別に細かく識別することも必要でしょう。
やはりIFRSの導入には、情報を開示する企業側も
情報を読み取る投資家側にも、
正確な理解と慎重な判断が欠かせませんね。