IFRSを読み解くコツ | 女性起業家 ルミナスのブログ

女性起業家 ルミナスのブログ

公認会計士であり、組織の仕組みづくりのお手伝いをする会社を経営しているルミナスが      

日々感じたことを書いています。


ルミナスです。


前回の公正価値の評価の続きです。


前回の例で示したように、

公正価値や使用価値の算定は簡単にはいきません。


算定しないで良いというわけではありませんが(※)、

容易に認めてしまうと恣意性が入り、

利益操作にもつながる結果になります。

(※)こちらについても以前、CLICKブログ 書きました。


不動産などは評価方法が何種類もあり、

どれを使うべきかという問題がありますし、


社外の専門業者に客観的な評価を依頼する手もありますが、

会社と業者が結託してしまえば意味がない。

過去にそんな話もあり、規制が厳しくなりましたね。



公正価値をそのまま受け入れると(※※)、

財務指標のボラティリティが高くなる傾向が出ますが

(※※)減損の場合は公正価値ではなく使用価値で評価します。


その結果として、結局のところ、投資家の短期的志向が

促進されてしまう結果にもなりかねません。


何でもかんでもとにかく公正価値評価、

ということでは、弊害が生じるのです。



そんな状況ですので、BS重視とはいえ、

資産評価については公正価値の信頼性のレベルを

しっかりと認識しつつ、合わせて損益(包括利益)を

性質別に細かく識別することも必要でしょう。



やはりIFRSの導入には、情報を開示する企業側も

情報を読み取る投資家側にも、

正確な理解と慎重な判断が欠かせませんね。