ルミナスです。
最近、IFRSがらみで
"公正価値ヒエラルキー(公正価値のレベル別分類)"
という話がとりあげられ、日本でも同様の議論がなされています。
その内容は、以下のように公正価値(時価)の内容を
信頼性に応じて、3つのレベルに分けるというものなのですが、
このことについて少し触れてみたいとおもいます。
※ここからお話することは、あくまで個人的見解です。
レベル1 企業が入手できる活発な市場における公表価格
をそのまま用いた公正価値
レベル2 直接または間接的に観察可能なインプットのうち、
レベル1の公表価格以外の入力数値が重要となる公正価値
レベル3 観察不能なインプットであるレベル3の入力数値が
重要となる公正価値
特に資産については、
公正価値で評価すべきか、取得原価で評価すべきか、
については、以前から議論されてきたところですが、
金融的な考え方をすれば、保有する資産の価値は、
目的が投資かどうかにかかわらず、
現実に売ることのできる価格で評価すべきです。
市場価格が存在する場合もあれば、
参照できる市場価格がない場合もありますが、
できるだけ実勢に近い価格を探すことが必要になります。
特に、土地や建物といった不動産を公正価値評価すべきか
については、含み益を利用した粉飾が行われた事もあり、
過去からしばしば議論されてきました。
公正価値で評価しない主な理由として、
①不動産価格の評価が難しいので、評価しても不正確だ、
とか、
②売却を予定しない資産を公正価値評価しても意味がない、
という理由が挙げられることが多いですが、どうでしょうか?
どうせ不正確だから評価は不要?
確かに、公正価値が常に正しい資産価値を
反映しているわけではないけれども、
だからといって直ちに情報が役に立たないのか
というとそういうわけではありません。
もし、正確な公正価値を算定できないから
取得原価で評価する、ということになると、
公開情報、つまり財務諸表上の数値が
実態、つまり現実に売れる価格と大きく乖離してしまいます。
これを回避するには、どの部分がどの程度不正確だ、
ということを示したうえで、情報を開示すれば良いわけです。
売却予定がないから評価は不要?
また、不動産のように、売却や処分を予定せず、
長期的に保有する資産であったとしても、
上場会社のように、会社自体が売り買いの対象
となる可能性がある場合は、
保有資産の公正価値に関する情報は
会社そのものの価値(企業価値)を算定する上で
不可欠な情報です。
また、不動産は借入の担保になることもあり、
この場合の評価も、公正価値でなされます。
注意も必要!
とはいえ、公正価値(時価)の変動で生じた利益は
マーケット価格の変動という未実現の利益ですので
現金化されたものではありません。
気を大きくしてリスクをとりすぎませぬよう・・・。