変わった店名のケーキ屋さん

 

アマン東京ホテルでパティシェをされている男性が

ご自身のお店を近隣に持ち月に何回か営業していると聞き、いつか行ってみたいものだと思っていました。

 

しかし都心の高級ホテルのパティシェのお菓子が近隣で買えると評判になり、

静かな住宅街のお店前には長蛇の列ができるようになっていたそうです。

何でも整理券を配ればその整理券目当てに相当早くから並ぶ人が出ると

一向に混雑が収まることはないようでした。

 

 

こうしたことをなんとなーく聞いていたので

私のように並ぶ気のないお客さんはいつその素敵なケーキを買える日が来るかわからないくらいと諦めていました。

 

 

しかしある日突然、ホールケーキの予約販売開始!ということを知りました。

これは予約できるのかもしれないと意気込んだ家族が予約の連絡をしてみると

驚いたことにあっさりと予約ができました!

ホールケーキを予約するのでちょうど私のお誕生日は過ぎていましたがその月だったため

家族が私のお誕生日のケーキにしてくれていました🎶

 

受け取りの日にはウキウキと初めて訪れるケーキ屋さんのお店を家族と目指しました。

 

そこは本当に住宅ばかりの並ぶ閑静な地域で

こんな静かなところに目的のケーキ屋さんは本当にあるのだろうか?と思うくらいでした。

しかし程なく、小さな一軒屋に1階がガラス張りのとても美しい店舗があることに気づきました。

大きな看板も目印もなく、店舗としては本当に地味なつくりで

通り過ぎてもわからないくらいの知っている人しか来れない感じでした。

 

素敵な木枠の扉を開けると

こぢんまりとしているけれどとても明るい木の色がスッキリとした、

美しい内装の空間が広がっていました。

入ってすぐには焼き菓子の置かれたスペースがあり、

お店は中に入ると意外にも広く感じられました。

 

厨房の奥から小さな男の子が元気に飛び出して愛くるしい笑顔で迎えてくれました。

その後に店主の若い男性がとても爽やかに現れました。

 

このお店の美しい内装にピッタリのきちんとして美しいオーラをまとった方でした。

 

お店はショーケースがありその向こうには作り付けの木の引き出しが見えました。

おしゃれな持ち手のついた引き出しはインテリアとしてもとても見栄えがして綺麗です。

とても素敵な内装のお店ですね、と言うと

自分の好きなものだけで作りました、と嬉しそうな笑顔を見せました。

このお店に前から来たいと思っていたことを伝えると

店主の方はテレビの取材があってからすごくお客様が来るようになってしまったと

半ば申し訳なさそうに話してくれました。

 

こんなに素敵なパティシェのこんなに素敵な店舗なら

テレビに出てしまったらお客さんが殺到しても仕方がないな、と思うくらい

そのはにかんだような笑顔は素直さと誠実さに満ちていました。

 

お店には私達以外は誰もお客さんも来ておらず、とてものどかで静謐な空気が漂っていました。

そこがそんなにも普段は大混雑しているというのがまるで嘘のようでした。

少しだけ見える奥の厨房にはサンサンと陽の光が降り注ぎ、たくさんのホールケーキの型が置かれていました。

小さなお子さんはとても小さなエプロンをつけて

この厨房でお父さんの夢のような素敵なケーキづくりを眺めているのでしょう。

ここはこのパティシェさんの夢の場所なんだな、ということがわかりました。

 

Happy Birthday Rumiko

 

とチョコレートでシンプルに美しく描かれたケーキをいただき

幸福でいっぱいになり帰路につきました。

 

今度いつ注文できるかわからないけど

素敵なパティシェさんの夢のお店にまた行きたいな、としみじみ思った日でした。

美しい気(エネルギー)の人や場所、そうした気の入ったものは人を幸福にしてくれるものですね!