ニュースで新川和江という詩人が亡くなったことを伝えていました。
新川和江さん?
名前は聞いたことがあるけど、
どんな詩を書く人なのか覚えていませんでした。
するとニュースの中で直筆の文字の映像とともに詩が流れてきました。
わたしを束ねないで
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂
わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮 ふちのない水
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
,や.いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩
とても素晴らしい詩に驚きました。
とても感銘を受けました。
教科書に載っていたでしょうか。
(私の時代ではまだ載っていなかった。。。(^^;;)
新鮮で力強くて、自由でうれしくなりました。
新しい風が吹いたような清々しさを感じて、とても気持ちが良くなりました。
素敵です!
