ものすごく素敵な展覧会を観てきました!
写本ーいとも優雅なる中世の小宇宙 国立西洋美術館 2024年8月25日(日)まで
上野の西洋美術館で内藤裕史さんという方の
中世ヨーロッパの写本のコレクションをまとめて一堂に開した展覧会です。
このような展覧会が開催されていることをまったく知りませんでした!
危うく見逃すところでしたが、会期ギリギリのところで間に合いました!
とてもとても素敵な作品ばかりでしたので、
興味のある方は是非ご覧になってみてください!
中世の写本。。。というのはヨーロッパで印刷技術のなかった時代に
キリスト教の修道士や職人が聖書の言葉や修道院での決まりごとなどを
獣皮紙に手書きで書き写して本にしたものです。
1枚1枚を手書きでものすごく細かい文字や壮麗な金の装飾で美しく仕上げた、
とても貴重なものです。
その美しさ、精巧さ、技術の高さと美術品としての素晴らしさは
本当に目を疑うばかりのものでした!
私が初めて中世の写本を目にしたのは、何十年も前にイタリアを旅行した時に
たまたま教会の上でたくさんの写本が展示されているのを見た時でした。
その時の衝撃というのは今も忘れられません!
その数の多さといい、写本の美しさといい、
なんとも言えないくらいの興奮を覚えて絵葉書を何枚も購入しました。
以来、日本でも旅行先でも写本を目にすることはまったくありませんでした。
しかし今回、内藤コレクションの展覧会でかなりの数の写本を目にすることができて、
本当に幸せな気持ちで見入ることができました。
ほんの数センチの獣皮紙の中に米粒よりも細かい文字が整然と書かれ、
色彩を変えたり、文章の最初の文字を大きくして読みやすくし
ところどころにとても細かい絵をつけたり縁取りを装飾して、
本当に手の込んだ作業を分業しながら
膨大な時間と並大抵ではない集中力で作られているということがわかりました。
その1枚1枚の小さな世界を見ていると
その世界の中に吸い込まれていきそうなくらいの気持ちになりました。
作り手は一体どんな気持ちで
この作業を電気もない時代にしていたのだろう、と思わずにいられません。
それはものすごい信仰心やある種の瞑想に似た気持ちだったのでしょう。
おそらく私も過去生のどこかの時代で
こういった写本をありがたさと憧れを持って見ていたのだな、とつくづく思いました。
今は美術品として鑑賞することができますが、
当時はその教えを受け取りわかりやすく伝承していくものだったのだと思います。
素晴らしいのひとことに尽きる作品ばかりでしたが、
私は最初に展示されていたとても小さな写本で、
内藤裕史さんが最初に購入したという作品がとても印象に残りました。
写本をコレクションするきっかけになった作品とのことですが、
なるほどそれだけのめり込むことになったのが頷けるような
小さいけれどもきらめきを感じる静かな美しさを讃えた1枚でした。
観にきているお客さんも熱心に観る人が多く、
ルーペ持参で観ている人も何人も見かけました。
確かにルーペが必要なくらい絵も文字も小さい!ですので
本当に好きな方はルーペ持参で行かれたほうが良いと思います。
会期はもうすぐ終了ですが、
私は近年行った展覧会の中ではダントツに良かった展覧会です!
中世に一生懸命、信仰心とともに憧れを持って写本の世界を見入っていた自分を感じながら、そういう過去、中世の自分とお別れするつもりでじっくりと鑑賞して堪能してきました(^^)
内藤コレクション最初の作品
こちらも傑作でした!
素晴らしすぎて作者を探したそう
内藤氏が惚れ込んだのもわかる!










