オーガニック・ボランティアとは、農地や森林などの地域の自然・土壌の保全に貢献する奉仕活動を意味します。したがって、農業ボランティアも入りますが、化学的な成分の農薬や肥料を多く用いる農業を含むことはありません。



GWの間、私は湘南海岸、藤沢市の自然栽培の畑にボランティアに行ってきました。農業ボランティアですが、畑は無農薬のうえに、肥料もまったく使わない、徹底した自然栽培の畑なのです。

休耕田だったところを、表土を掘り起こし、また水で流して農薬を抜き、畑にした、原っぱのような場所でした。踏みしめると、スポンジの上にのっているような柔らかさです。



スコップを使って小さな穴を掘り、20~30cmほどに成長した枝豆の苗を2本ずつ、植えていきます。穴は10cm程度の深さで、子葉の生えている部分からは地面の上に出します。そして、土を穴に入れて、手やスコップで苗の周りを押さえます。この作業は子どもでも十分にできるな、とかるい思いではじめました。


ちょうど日も翳(かげ)り、風が吹きつけ、畑を撫でていきます。ときおり近くを東海道新幹線が通ると、振動がからだを揺さぶりますが、通り過ぎるとまた風音と鳥の鳴き声しか聞こえません。「君がため 春の野に出で 若菜摘む」といったロマンチックな優雅さはなくても、野作業は決してわるいものではありません。


ひと月ばかり前にもこの近くの畑で、ボランティアをしました。そのときは、激しい雨だったので、ビニールハウス内での作業でした。天気が決定的な意味をもつことを、実感させられます。まるで自然が私たちに微笑んでいるのか、あるいは罰でも与えようとしているのか、といった決定的な違いです。


キャベツ畑1


箱のなかには、枝豆の苗がどっさり入っています。終わることがあるのだろうかと思えるほどのたくさんの苗も、からだをずっと動かして二本ずつ植えていると、いつしか減っていきます。


こうして他のボランティアの人たちといっしょに、昼休みを挟んで3時過ぎまで作業をして、すべての箱の苗を植え切ることができました。


あれだけの量の苗を本当に植えたのだとは、実感がわかないのですが、カラになった箱と、長い畝に行儀よくまっすぐに並び、風にゆれる新苗を眺めていると、やり終えたのだという充実感や安堵などが湧きおこります。こころもからだも、風をうけ、緑になったような感触です。


昼休みの時以外は、ことばをたまに交わす程度で黙々と作業をつづけ、疲れてくると景色を眺めたり、ストレッチングをするなどして休憩し、それぞれじぶんのペースでやっていきます。


しかし、作業が終わると初対面の人との間にもさまざまな話題でもりあがり、にぎやかな雰囲気の場になります。大学生だと思っていた若者はじつは高校生で、昨夏から週末などに手伝いに来ているそうですが、最初の頃は腰やふくらはぎなど痛かったのに身体が慣れ、今はラクです、と楽しそうに語っていました。


こうして満足感をあじわいながら一日のボランティアを終えたのですが、翌朝目が覚めるとからだが動きません。全身が筋肉痛で、上腕部と下半身全体が痛みでうごかすことができないほどなのです。〈つづく〉