金融安定理事会の最新報告

金融安定理事会(FSB)から新たな報告書が公開された。 これによれば、仮想通貨は現時点では、『世界的な金融の安定を脅かすものではない』とのことである。

とはいえ、今後の監視は必要であるともしている。

この報告書は、仮想通貨による安定した既存金融への影響に焦点を当てたもので、今年3月にFSBの長官からG20の財務大臣と中央銀行長官に宛てられた、報告書のフォローアップである。

また、同じく7月にFSBが公開した、総理事会に属する基準設定委員会による仮想通貨関連業務のレビューも兼ねている。

FSBはこの報告書で、仮想通貨を支払い手段、価値の保存手段や会計単位として見なしていないという旨を明かしている。

そして仮想通貨は現在、流動性の低さや、ボラティリティや仕組みの面でのリスクなど多くの課題に直面していると思われる。

以下が、報告書の要点となる。

今可能な情報から言えることは、仮想通貨が金融の安定に重大なリスクをもたらすことは現時点では見られないということだが、市場の成長の速さを鑑みるに、引き続き監視は必要となる。仮想通貨の利用は今後も進化を続けるだろうが、そうなると将来的には金融の安定性への影響をもたらすことになるだろう。

将来的には金融の安定を脅かすか

こうしたリスクには、金融機関・規制機関への信頼度や評判に関するものが含まれうると、同報告書で述べられている。

そして、仮想通貨が一般的に支払いや決済で用いられるようになると、その時価総額や資産効果によって金融へも影響を及ぼすようになる可能性が高いとしている。

さらに、仮想通貨が引き続き人気を集めていくと、投資家がこの領域へ移っていくがゆえに、ますます既存の金融の安定に影響を及ぼすようになると述べられている。

なお、G20サミットを前に国際通貨基金が発表した「世界経済見直し 」報告でも記述してあるように、FSBの報告書も「イノベーションとリスクのバランス」について言及しており、最先端の新興技術たる仮想通貨はいつの日か既存の金融システムを脅かすことになる、と述べている。

FSBの加盟国は、すでに仮想通貨に関して、国内で幅広く監督・規制・その他行動を起こしている。

本国の規制当局や基準設定委員会は、投資家に対し、金融システムの効率化を促しうる分散型台帳技術(DLT)の可能性を支持すると同時に、仮想通貨のリスクに関する警告を再三発している。

こうした行動は、イノベーションによるメリットの維持と、消費者・投資家の保護や市場の整合性におけるリスクの抑制とのバランスを保つ形で実現すると見込んでいる。