仮想通貨をめぐる規制強化や不正行為、訴訟など相次ぐトラブルにもかかわらず、ICO(新規仮想通貨公開)はほとんど影響を受けず、市場を賑わせている。

仮想通貨は2018年に入って、一言で表現すれば”弱気市場”で取引されているが、新たなICOが取引所の価格を上回って取引競争を演じており、クラウドセールの割り当ては完売である。ICOは2018年2月、3ヵ月連続で10億米ドル(約1100億円)を超える資金を調達した。

クラウドセールによるICOが盛んに

クラウドセール(crowdsales)は、投資家とは言わないもののプロジェクト事業者にとっては、2018年の最も利益の上がるビジネスの1つになろうとしている。クラウドセールとはクラウドファンディングの新形式で、開発者が独自に発行したトークンをビットコインなどの通貨払いで売り出し、資金調達する方式だ。

これはブロックチェーン技術を応用して、通貨以外の役割と機能を持たすbitcoin2.0系のプロジェクトであり、クラウドセールの数は自ずから増える、将来性のある資金調達法と言える。一方で、販売する暗号トークンの市場価格は変動しやすい、つまりボラティリティが高いことから、有価証券と見なされる可能性が大きい。

2月には、クラウドセールによって12億ドルの資金が調達された。これは1月の15億6000万ドルよりやや低かったものの、2017年12月とほぼ同額である。その結果、2018年のICOはすでに、前年の総額の50%に達している。TokenDataのデータによると、ICO空間で最も貢献した国は米国、中国、リトアニアの3ヵ国だった。

ICO調達額は今年、米国:7億8800万ドル、中国:2億6500万ドル、リトアニア:2億4900万ドルだった。

米議会での仮想通貨、ICOの検証進み法的解釈迫る

2018年になって注目されているICOは、「Telegram」と「Dragon Coin」である。Telegramは脅威的な20億ドル調達を目指して募集中であり、プライベートセール段階の2ヵ月間ですでに8億5000万ドルを調達済みである。ユーザー2億人と言われるチャットアプリであるTelegramは、独自のプラットフォーム「TON(Telegram Open Network)」を開発して、「Gram」と呼ばれる独自のトークンを発行している。