めるの銀魂夢小説 ~シロガネダマシイ~ -2ページ目

銀魂夢小説 「意地悪な幼馴染」

―――俺、好きだったんだよ君の事。


単なる幼馴染だと思ってた退からそんなことを言われたのは、まだ昨日のことだった。


       ※


「明日はいよいよ私立入試かぁ…」


「そうだねぇ早いもんで。俺も今からどきどきしてきたよ!」


ぼそりと呟く私の隣で、にこにこと微笑みながらそう言ってくる退。


家へと帰る足取りが何だか重く感じるのは、きっとこのまま時間が止まってしまえばいいと私が願っているからに違いない。


「……そんなに心配しなくても大丈夫だって」


私があまりに不安そうな顔をしていたからなのか、気遣って退が声をかけてきてくれる。


ぽんと肩を叩かれて、私は今にも泣き出しそうになるのを頑張ってこらえるしかできなかった。


「もうちょっと今まで勉強しとけばよかったよ…」


後悔先に立たず。


まさに今の私の状態がそうだった。


受験勉強をしていてもどうしても自分を甘やかしてしまう自分。


どうしてもっと頑張っておかなかったんだろうって、今更思っても仕方ないって分かってるけど…。


「…正直言えば、俺だってすっげー後悔してるんだよ」


「え?」


少しの沈黙の後、唐突に口を開く退を見上げれば。


退は苦笑いを浮かべてこちらを見つめ返してくる。


「俺だって今まであんま勉強してないしさ~~?……でも」


「でも?」


「もっと後悔してることもあるんだけどね」


「もっと後悔してること?何それ」


私は首をかしげながら尋ねてみるけど、退は言葉を濁してしまうだけ。


そうこうしているうちに私の家の前へと辿り着いてしまった。


「それじゃあ…明日、お互い頑張ろうね」


家の門の前で振り返り、小さく退に向かって手を振る。


そして家へ入っていこうとしたとき……私は前へつんのめってしまった。


それは、いつの間にか退が私の手首を握りとっていたから。


「な、なに退?どしたの?」


今まで家が近いことや幼馴染だったこともあって、いつも学校から一緒に帰ってきていた退。


だけどこんなことをされたのははじめてで私は驚きを隠せなかった。


「聞きたい?」


「え、何を…」


「俺が何を後悔してるかってこと」


いつになく真剣な顔をしている退に戸惑いつつも、言いたくないんだったら無理に聞かないよ…、と口を開こうとしたとき。


「それはさ、君に俺の思ってることもっと早く伝えておけばよかったっていう後悔だよ。高校は離れちゃうわけだしさ」


「へ?私に…?」


「俺、好きだったんだよ君の事。ずっとずっと前から」


普段弱気なくせに、こんなことは笑顔でさらりと言ってのけてしまう退。


何だか悔しいような嬉しいような複雑な気持ちが胸の辺りに広がっていくのが分かった。


「あ……じ、じゃあまたね!」


結局何も言い返すことが出来なくて。何故顔が熱いのか分からなくて。


私はばたばたと逃げるように家の中へ飛び込むしかできなかったのだ。


       ※


昨日のことが鮮明に思い出されて、また赤面する私。


「何で…何でこんなにどきどきしてるんだろ」


今日は私立入試本番の日。時計の針は朝の5時半を指している。


ベッドに座り込んだまま私は気づいてしまった。


この胸のどきどきは、きっと入試のせいだけじゃない。


昨日まで入試のことでいっぱいいっぱいだったはずなのに…どうして今はこんなに退のことで頭がいっぱいになってるのか不思議でたまらなかった。


「このままじゃ駄目だよね。ちゃんと思いを伝えなきゃ」


ベッドの脇においてあった携帯電話をばっと握りしめ、震える手で電話番号を入力する。


プルルルという音がこんなに心臓に悪かったのは、きっとこの日が最初で最後だと思う。


『もしもし?』


「さっ…退!?」


『え?そうに決まってるじゃん、俺の携帯なんだからさ!』


けらけらと電話の向こうで笑う退はいつもと変わらなくて。


何だかほっとしたような気持ちになりながら、私はすうと息を吸い込んで……


思いっきり、叫んでやった。


「―――バカ!!!!!!!」


『う…わ!何!?びっくりするじゃ……』


「退のせいで、昨日まったく勉強できなかったんだから!家帰っても退のことばっか考えてて、柄にもなくずっと悩んで…」


『あ…ごめ…』


「何で謝るのよ!そんな優しいから…好きになっちゃうんじゃない」


ぽろりと口から出た言葉に、驚いていたのは退だけじゃなかった。


一番驚いたのは言った本人である私。


こんなことを言うつもりは全く無かったはずなのに…。


「……あ。ごめん、えっと、今のは忘れてっ」


『忘れないよ。忘れない、絶対』


「え、ちょっと退~~!?」


携帯の向こうの退の声は、すごく意地悪さを帯びていて。


わたわた慌てる私は時計を見てまたさらに目を見開いてしまった。


「やばっ…もう6時じゃん!!!用意しなきゃ!」


『あ、ほんとだ』


「何であんたはそんなに呑気なのかな~~!じゃあもう切るからっ…」


『ちょっと待って』


「ええ!?何よ…」


『大好き。すっごいすっごい愛してる』


受験終わったら…覚悟しといて?


という言葉のあと、ツーツーという通話の切れた音が、何度も耳にこだます。


それから時間差で顔が熱くなっていって……私ははぁぁと大きなため息をついた。


それは退の言葉に対する恥ずかしさと…


あとはもうひとつ。


退への私の気持ちがどういうものなのか、改めて気付いてしまったから。


退が…退のことが、ずっと好きだったんだってことに。




終わり






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私立入試が昨日とりあえず終わったので更新!というわけで、

少し前に誕生日だったザキくんの夢を書かせていただきました♪

全国の受験生さまへめるからのせめてもの贈り物とさせていただきます!!w


この夢小説のヒロインも、この後きっと私立入試うまくいったと思います^^

ちなみに退は、受験のことで頭いっぱいのヒロインを少しでも落ち着かせようとして告白したっていうのもあるそうです←

あ・・・めるはあれですよ、そんなにうまくはいかなかったんですけd((おい


あとは公立入試のみ!

頑張るのみですよね(´・ω・`)

というわけでまた少しの間更新できなさそうですが

公立入試が終わったら絶対すぐ帰ってきますからぁあああ!←


ではでは全国の受験生様!

私立専願だった方はお疲れ様でした!(もしかしたら終わってない方もいらっしゃるのでしょうか;)

公立本命の方は、もう少しの間共に頑張りましょう!!



とゆーわけで一旦さようなら~~・°・(ノД`)・°・