第五試合
男子シングルマッチ
犬人間よしお vs 怨霊
後半戦一発目の第五試合は霊界の貴公子と犬人間の一騎打ち。
何と言うかこう、大衆プロレス的にはすげーワクワクするんですよ。
こういうわかりやすくて色がハッキリしてる対戦カード。
初シングルながらお互いの事はよく研究していたのか、結構手が合っているように感じた。
しかし感情を出さない怨霊さんが珍しく喋ったり耳元で暴言を吐いたり(小声で「殺すぞ」って言ってたらしい)どうしたのか?
拙者が思うによしおの独特のペースに少しづつながら冷静さを乱されていたのではと思う。
流石は犬と人間の魂の融合体。
この流れが最後まで維持できればしてやったりだったのだが
王道レフェリー・西永さんが事態の沈静化を図り「謝れ」と注意したのだが、よしおは「謝らんもんね、絶対」とヘンな意地を張る。
これが災いし藁人形で呪われる羽目になる。
呪いとエクトプラズムに苦しみながらも犬人間特有の俊敏さを武器に逆にお株を奪う怨霊クラッチを狙うよしお。
しかしやり方がわからず本霊にレクチャーを受ける事に。
わかりやすく説明してもらいながら自分に綺麗に決まった怨霊クラッチが結局フィニッシュホールドになるという珍プレー好プレー状態で何とも愉快な幕引きとなった。
決して表情豊かな怨霊さんではないが松山座に対して楽しさに似た感情を持っている旨を以前に語ってくれた事がある。
故に当一座の象徴の一角であるよしおとの初シングルも想像以上の好勝負だった。
これからもずっと除霊はしないでおこう。
そんな怨霊さんは令和初日に財布を落とし、見つかったものの現金は全て抜かれていたらしい。
それはこれまで呪ってきた相手の呪詛返しではないかという説がここにきて浮上してきているが、真相は闇の中である。
※この試合で使った呪いの藁人形は客席の少年にプレゼントされた。
試合時間:11分16秒
決まり手:怨霊クラッチ
勝者:怨霊