「お転婆な方のお嬢ちゃんに顔まで殴らせるなんて、随分破格の待遇だったじゃねぇか?魔王の余裕だけじゃねぇだろ?」
「来るべき時…『黙示録戦争』が起きた時に…ね…。
きっとあの子達みたいなのが『人間側』のリーダーになるんじゃないかなぁって。」
「『運命の輪』を司るお前さんが言うなら信憑性が高いな。
だがいいのかい?『強きリーダー』が育つと俺達『悪魔側』の立場が悪くならねぇか?」
「あら、敵は強い方が楽しくない?それに黙示録戦争はあくまで『神側』との戦いだし、人間側があたし達に付く可能性もあるんだから♪
フフフ、今から楽しみだわ。
その時はベヒーモスもベルゼバブも本気出すかもね♪」
「そん時ゎ、俺もグラシャ・ラボラスとして忙しくなりそうだな?」
「あら、貴方はもう今から働いてもらわないと…。
ねぇ、グラシャ・ラボラス、あたしの仕事請けない?」
「『魔王レビアタン』が25位の俺を直々に指名とは光栄な。
ホシはやはり、お転婆お嬢ちゃんの…。」
「ええ、燿子ちゃんの実母に対するトラウマは彼女の成長の妨げになるわ…。せっかく父や姉との絆が深まったけど…。」
「と、すると…?」
「『栗原燿子の実母の愛人』をお願い。」
「なるほど…。それで実母が目を覚ましゃいいけどな…。
まぁ、宮崎妙子を悲しませない『殺し』ならお安い御用ですぜ、嫉妬の魔王様。」
「…遠くない未来にあんたが『ロ○コンの悪魔』に書き換えられそうね…。」
「冗談はさておき、20世紀の大量殺戮の時代で途絶えたと思ってたが、『真の魔法使い』が三人も生まれたことは『神側』にとっても喜びの種なわけだ。」
「ええ、知恵と愛そして勇気。砂の妖精の魔法が、本当の魔法使いを生み出したわ。」
「それを言うなら、少なからず俺達も加担したんだぜ?」
「加担したくなったのよ。過ちから立ち上がる力、夢を見る能力、分け与える喜び。人間だから出来ることだわ。」
****
(五年後)
「お久しぶりです燿子さん!」
「妙子ちゃん久しぶり!賢司の奴、妙子ちゃんを泣かしてない?あいつ無駄にモテるからね。」
「燿子ちゃん、周りが騒いでも僕は妙子ちゃん一筋だよ。」
「私は父さんの後継者として忙しいからねぇ。」
「三人とも久しぶりだな…。」
『サミアちゃん!その子は?』
「新潟の土が産んだ、世界で二人目のサミアッドだ。」
「僕、お名前は?」
「克浩でぇす!」
終