「あ~ん、負けちゃった~♪ごめんねベヒーモスにベルゼバブ。
あんた達にはもっといい子を探してあげるから♪」
妙子ちゃんのポケットの中のタロットが輝き、レビアたんが見た目よりも幼い声色を出す。
「出てきなさいよ、レビアたん!さぁ、皆の呪いを解きなさいよ!」
燿子ちゃんが語気を強めると、気だるそうな雰囲気の女性が実体化した。「嫉妬の魔王・レビアたん」だ。
「わかってるわよ、あんた達もパピルスの紙の控え持ってるんでしょう?」
賢司くんは魔界に連れて行かれる契約書を、妙子ちゃんはベヒーモスの花嫁になる契約書を取り出した。
レビアたんが指をパチンと鳴らすとパピルスの紙の契約書は灰となり、妙子ちゃんの部屋の絨毯を汚した。
130年前に契約したサミアちゃんが契約書を持ってるわけがなく…。
「契約書が無い時は契約内容を口で言ってね♪」
「言われなくてもわかってる。雨や多少の水害で即死しない身体のままで、私から奪った名前を返せ!」
「は~い、130年もありがとね♪優良顧客は大事にするのが魔王のモットーよ。またいつでも召喚してね。
えい!」
再び指を鳴らせば、一瞬にしてサミアちゃんの黒いローブと三角帽子が…。
真っ白なドレスとパラソルに変わる。
「ついでに老眼も治してやったわ♪ポイント還元サービスね♪」
「この服、パラソル…懐かしい…何もかも…。イーデスと克浩の匂いがする…。
あぁ、まさかサミアッドの私に『懐かしい』などという感情があったとは…。」
「じゃ、皆様、毎度ありぃ~。シーユーアゲイン~。」
タロットの中に消えようとするレビアたんに…。
「待ちなさいよ!まだよ、まだ終わらないんだから!」
燿子ちゃんが黒レザーの服を着たレビアたんの胸ぐらを掴み、一発ぶち込んだ!
ガシャンと妙子ちゃんの本棚にまで吹っ飛び、数冊の本が倒れたレビアたんの頭に当たる。
「この蛇ババア!悪魔だからって人間と妖精をナメた罰よ!お釣りは取っときなさい。」
「フハハハ、形無しだなぁ、レビアタン。お嬢ちゃん、片付けは俺に任せな。あばよ!」
さっきまで傍観してたカールクリラノースさんが気絶した?レビアたんを抱えてタロットの中に消えた…。
「終わったね…。」
安心する妙子ちゃん。でも僕は大事な事を思い出した!
「しまった!レビアたんの契約に『公園の取り壊し撤回』は入ってないよ」
「まだ日没まで燿子さんの願いが残ってます」