翌日の屋敷
「そろそろ来ると思っていたぞ、マケドニウスよ。」
「何故、私が我が主を訪問するとお分かりになったのですか?」
「我が従者マケドニウスよ、自分の胸に聞いてみるがいい。
どうせお前は巫女長様の死も、アルラウネの噂も既に知っているのであろう?」
「隠すつもりはありません、我が主よ。
巫女長様が逝去され、直後にアルラウネさんの永遠巫女としての噂…。
神様とはイタズラ好きなものですな。」
「最も神を信じていないお前が言うな!
この国に南方ラオの留学生がどれだけ入り込んでいるか知らぬが早くホルス王の伝言を伝えよ!」
「我が主よ、私はただのサンドロス殿下の家庭教師です。
王の言葉等とても…。」
「我が従者マケドニウスよ、お前が王子の家庭教師になれたのなら、夢は叶い、雇いは解かれた。
故に我らは主従ではない。」
「我が主よ、私はサンドロス殿下がお世継ぎを授かり、その子の家庭教師にもなりたいかもしれません。」
「マケドニウスよ、何とも欲深い奴よ。
よほど今のホルス王に不満か?」
「我が主よ、ホルス王に不満はありません。
ただサンドロス殿下が優秀過ぎるのです。
彼こそは覇王を約束された男…。」
「マケドニウスよ、お前ほどの賢者がまだ11か12の男の子に大した入れ込みようだな。」
「冬には13になられます。
ホルス王を超えた全てを既に持っておられるお方です。
すぐにでも隠居を勧めたいくらいです。」
「貴様、それが目的か?」
「とんでもありません、我が主よ。
王とはお世継ぎがを持たれてこそ、王です。
花嫁が決まってないサンドロス殿下にはまだ早い…。」
「マケドニウス、貴様、まさか…。」
「そのまさかです。
永遠巫女様をサンドロス殿下の花嫁として貰いにきました。」
「マケドニウスよ、気は確かか?
アルラウネはまだ七つだ!」
「…大切なのは国民を納得させる世論…。
即ち話題性と心得ます。」
「マケドニウスよ、首を横に振れば我がルテミス共和国に進軍しそうな勢いだな?」
「我が主よ、私はただの家庭教師にて貴方の従者です。
そこまでの権限はさすがに…。
ただし、首を縦に振ればあらゆる抑止になることはお忘れなく…。
今日はこれで帰りますが、時に大戦の謎は解けましたか?」
「イカロスとロディテこの二人が鍵だ!」
「大戦のきっかけを調べてみては?
敵の兵が主の国の少女を殺害したというその詳細を。」