カイレフォンの友人第二章 15 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

三日後の朝
屋敷にて

「とにかく私は反対とだけ言っておきますよ。」

「お義母様、わかって下さい。
毎日の仕事に支障は出しません。」

「ソレント、貴方が仕事を疎かにしないことは私が一番知っています。
しかし、町のゴロツキとのケンカに勝つ為にレスリングを習うのは反対です。
貴方には人を魅了する歌があるはずです。」

「歌ではお嬢様を守れません!」

「アルラウネが町の人気者になってからずっとこの調子…。
あたしが永遠巫女様にお伺いを立てたいわ(笑)。
ねぇ、貴方?」

「テーゼよ、巫女長の死を市民に公表するまであと4日。
やはり私は事前に元老院に報告する!」

「こっちも神殿から帰ってきたらずっとこんな調子…。
我が家の男は悩むのが好きなこと(笑)。

いいじゃありませんか?巫女長様は貴方を指名したのですから。
元老院は巫女にお伺いを立てますが、巫女は元老院を気にしませんわ。」

「そんなことはわかってる!
鍵は…イカロスだ。元老院議員にて軍を総括する司令官。
そして次期巫女長だったロディテ…。
我らを戦争に踏み切らしたのは奴らだ…。」

「貴方、出かけるならアルラウネのお客様が一段落してからにして下さいな。
私とソレントだけじゃ行列を整理仕切れないわ。」



「…次…って、まだいるの…?」

「申し訳ございません。アルラウネお嬢様。
次で最後にしてもらいました。
続きは明日で。」

「お嬢ちゃんが噂の永遠巫女様かい?
お願いだ、今年のうちの葡萄の収穫は豊作かい?」

「…永遠巫女が何かわからない…。
…どれくらい収穫したら去年より豊作かわからない…。
でも、秋が来る時の貴方の顔はとっても笑顔だわ。
凶作に苦しむ人の顔じゃないはず…。」

「凄いよお嬢ちゃん!
それだけ言ってくれたら十分だ!
去年の神殿の巫女は酷かった!何が『三日月が紅く染まる夜に豊穣の女神は振り向きながら微笑むだろう!』だ!
俺は豊作か凶作か聞きたいだけなのに曖昧なお告げばかりして!
本当にありがとう。
これ少ないけど…。」

その日の午後
アルラウネの部屋

「毎日、凄い人気です、アルラウネお嬢様!
お嬢様はこのまま巫女になられるのですか?」

「…黒森の魔女と神殿の巫女は違う…。
巫女にはならない…。」

「どうしてですか?素晴らしい能力ではありませんか?」

「…巫女は嫌…。」

「どうしてですか?」

「…ずっと独身なんて嫌…。」