カイレフォンの友人第二章 10 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

劇場


「パルタカ、ロイセン、そして南方のラオにおいても国の政治は王制である!
しかし、我が国の共和制における元老院の選挙は…。」

「…何言ってるかわからない…。」

「申し訳ございません。アルラウネお嬢様。
穴に落ちた私を、助けて頂いたプルートさんが『礼をしたいなら私の講演を聴け』と言われましたので…。」

「…ソレントのせいじゃない…。」

「わかりました。
もう少し待って、プルートさんの話が続くようでしたら退席しましょう。
子供の私達には難しい政治の話ですからね。」


「……我が国の自由とは砂上の楼閣も同じだ!
自由なのは市民のみだ!
そして、その自由は多くの奴隷である同士によって支えられている。」

「そうだー!
いいぞプルート教官!」

「…ソレントも奴隷…。
私が自由なのは奴隷が働いてくれているから…?」

「お嬢様、『世の中は市民と奴隷、そんな単純ではない』とお義父様は言われてましたよ。」

「私はただのレスラーで終わるつもりは無い!
私はかねてからの計画を実行する!
期は熟した!
地震の被害は新たなる誕生の知らせだ!
私は大学を創る!
市民も奴隷も関係なく、真に才能を持つものだけが力を手にする権利を持つ。

そんな世の中を実現する為に!

大学では数学と体育を教えるだけではない。
『哲学』だ!
王による統治ではない。
選挙で選ばれた元老院議員による統治でもない。
大学という学問の要塞で、鍛え抜かれたエリートが統治する社会だ!
闘技場や劇場には、市民も奴隷も関係ないように!芸術や格闘から学問に舞台を移す時は来た!」

「プルート教官!本当に俺達奴隷にもチャンスがある世の中になるだろうなー?」

「我が同士達よ、だがそれには闘技場のレスリングだけでは資金が足りん!
皆の知り合いからの投資を求む!」

「異議あり!プルートさん!」

「…ソレント…何を言うの?帰ろう…。」

「お嬢様、少しだけお時間を失礼します。
プルートさん、ここは休館中のオーケストラです!
貴方の考えを弟子のレスラーに語るのは自由ですが、休館をいいことに寄付や投資を斡旋するのは如何なものか!
『名誉軍規律顧問』の我が義父の了承を得ての発言であろうか!」


劇場近くの裏道

「…ソレント格好良かった…。」

「講演を打ち切らせてしまいましたけどね。」

「坊や…。
このまま只で帰さないよ…。」

「確かディオンさんでしたか?」