とても、美しい人がいた。
とても、優しく、素敵な人だった…。

    彼、がいなくなった。この世界から。

いなくなってから溢れ出す、彼の素晴らしい笑顔だった日々、優しい言葉達。

   会ったことはない。画面の向こう側の人。

   それでも、まるで、春の穏やかな光と風を纏っているような、そんな優しい雰囲気の方だと思って見ていた。
  
   この数日流れてくる、悲しみの声、彼の人となり。
   なのに、思い浮かぶのは、美しい優しい笑顔なのだ。

   彼はきっと、誰も困らせたくなかった。
周りを笑顔にしたかった。
   彼の笑顔は嘘とか無理とかじゃなく、目に映る人の笑顔を、待ち望む笑顔だったのかなと思う。

   彼が悲しんで、悩んだら周りが悲しむ、困る、そう思っていたのかもしれない。

   彼がこの世界に残したものは、彼の全身全霊の輝きで、彼がいないと成り立たないものばかりだ。

   残されたこの世界の人がどんなに言葉を尽くしたとしても、あなたのことを失いたくなかったと叫んでも、きっと、少し困った笑顔をしながら、誠実な言葉を返すのだろうとすら想像してしまう。

   とても誠実で美しい人がいた。
優し過ぎて自分より周りを大事にしてきたのかもしれない。

   彼の笑顔は嘘じゃない。
周りの人の幸せを願う笑顔。優しさの笑顔。
私はそう思う。

  思い返す顔は笑顔ばかり。不思議なことだ。

  輪廻転生があるのかはわからない。
でも、またこの世界に生まれてきてもいいかなと、彼が思える世界や社会が未来にあって、
その時新たな命としてこの世界に立って、生きることは素晴らしいって思いながら、今度は天寿をまっとうできるような…
  そんな世界や社会にならなくちゃ、彼がこの世界にくれたものたちに恩返しできる術がない。

  失いたくなかった、私たちはあなたの笑顔が過去のものになることを、この間まで想像もしなかった。

  とても、美しい人がいた。
とても優しく、まるで春の光のように周りを暖かくする人だった。

  あなたの笑顔をきっと、忘れられないでしょう。あなたの笑顔はたくさんの人に、なぜ?を突きつけているけれど、
あなたの笑顔は優しさに溢れていたから。

   とても美しい人、あなたを失った世界は悲しんでいます。

   それでも、困ってはにかみながら、見守っているのかもしれない。

   そんなふうに思わせる、不思議な人。

  あなたのいた、生きていた、この世界に残してくれたものは輝くばかりです。