令和元年。あっという間に暮れてしまう。
時間の速さは毎年この時期には思うしブログにも書いているが恐ろしいほど速い。

さて。今日この日わたしは
『たぬき、ムジナ事件』の話をしたいと思う。

たぬき、ムジナ事件
1924年(大正13年)の事件である。

みなさん、ムジナってご存知ですか?

小泉八雲の怪談の中にも、『狢(むじな)』があるのだが
狢という、動物を見たことがあるだろうか?
ぱっと見て、こいつはむじな!ってわかるだろうか?

小泉八雲の作品に『狢』があるとあたかも幻想の生き物のようにも感じなくもない。

しかし、ムジナとはようはアナグマとかタヌキの別称というのか、地方によって狸をムジナと呼んだりしていたのだ。

そして件の『タヌキ、ムジナ事件』
実はこの事件は、その場所での当たり前なこと、周知されていること、認識の差が事件になったものだったりする。

 当時の栃木県、3月3日にムジナを狩った住人が警察に捕まってしまった。
理由はその年の3月1日施行のタヌキを捕獲することを禁じた狩猟法に反する、という理由であった。
○狩猟法の施行は3月1日であり、狩った日にちは3月3日。
○タヌキとムジナは動物学的に同一だ。

ということで警察は住人を逮捕した。

しかし、実はこの住人、ムジナを捕獲したのは2月29日。洞窟に閉じ込め、3月3日にしとめたのもまた事実だった。また、住人はムジナを狩った、と主張。
裁判で争われた。

ここからはWikipediaからのコピーを載せる。

狸、貉(むじな)の名称は古来併存し、我国の習俗此の二者を区別し毫(いささか)も怪まざる所なるを以て、狩猟法中に於て狸なる名称中には貉をも包含することを明(あきらか)にし、国民をして適帰(てつき)する所を知らしむるの注意を取るを当然とすべく、単に狸なる名称を掲げて其の内に当然貉を包含せしめ、我国古来の習俗上の観念に従い貉を以て狸と別物なりと思惟(しい)し之を捕獲したる者に対し刑罰の制裁を以て臨むが如きは、決して其の当を得たるものと謂(い)うを得ず— 判決文から一部抜粋
というわけで、要は裁判所の判決は、タヌキとムジナが同じ生き物だとわかっていない人が(当時)多く、法律で、狸を捕まえてはならんときかされたところで、眼の前のムジナがタヌキとはつゆ知らない。それは被告人とされた住人だけではなく広く一般的にもタヌキとムジナが同一とは認識されてはいなかった。また、法施行前の2月29日に捕獲の意思があったこと。などから、この件の事件は住人が無罪となった。
『事実の錯誤』として今も用いられる例らしい。
人は案外、思い込みや普段の習慣、そして、地域により異なる認識を持ったりするもので、一概に間違いだ、正しいだとか言えない、ということをわたしはこの件で感じた。
ちなみにわたしの周りの人々にムジナってどんな生き物?と質問して、タヌキ、アナグマと答えた人は皆無である。
人間とはかくも知らぬことも多く、また、その地域によるもので感覚も異なる。
さて、こんな話しではあるが2019年のブログはこのあたりで。
知りたいと思うことをとめない2020年であろうと思う。皆様!良い年越しを!