女将さんは、「ようこそお越しくださいました」と三つ指ついて挨拶されて、どちらからですかと話題をふってこられたので、大津にいることを話すと、身内の方もうちのマンションに住まれていたことが分かり、話に花が咲きました。
マスクについては、お子さんが海外在住とのことで、事情は理解されていて、私の言い分ももっともだという態度を取られました。
せっかくなので、館内をご覧くださいと言われ、もちろんマスクは強要されずに、川端康成が愛したという客室や、谷崎潤一郎の部屋などを案内されて、三島由紀夫やチャップリンとの逸話など、たくさんしていただきました。
小説「雪国」のトンネルを連想するような廊下を抜けた先にある大広間、漆塗りの家族風呂、お庭の話から、江戸、明治、昭和と、各時代に増築を繰り返した旅館の説明など、興味深く伺いました。
この後についてもらった仲居さんもベテランで、夕朝食ともにきめ細かな心遣いがあり、チェックイン時のハプニングのことが気にならないくらいの手厚いもてなしを受けることができました。
このリカバリーは見事というほかはなく、逆に好印象となって、旅の思い出に刻まれることになりました。