開園当初から定期的に来園いただき、相談やアドバイスを頂いている臨床心理士の辻先生より、ロータスナーサリーの保育の特色を文章にまとめていただきました

前回の記事もあわせて御覧ください↓

https://ameblo.jp/lotus-nursery/entry-12452153761.html

 

 

ロータスナーサリーは少人数制の保育園です。
少人数なので、同年齢での活動を意識的に保障しつつも、生活のベースは異年齢での活動となります。

小さい子どもたちにとって、自分より大きいお兄ちゃんやお姉ちゃんの活動を身近で見ることは、大きな刺激になります。

たとえば絵本。
1歳前後の赤ちゃんは、棚に並んでいる絵本を1冊ずつどんどん出していきます。今は取り出すことそのものが面白いようですが、自らページをめくるようになる日もそう遠くないでしょう。お兄ちゃんやお姉ちゃんたちの様子を見ていたからこそ、絵本により早く興味を持ったし、取り出し方も覚えたのだと思います。

それから、朝の挨拶や歌。
一列に並んで、お当番のお兄ちゃんお姉ちゃんに名前を呼んでもらったり、みんなが歌うのを身体を揺すって聞いていたりと、その場がどういう場であるかを全身で感じ取っていきます。

このように、遊び、お片付け、排泄、着脱、食事、午睡、散歩・・生活のすべてにおいて、お兄ちゃんやお姉ちゃんというモデルがいます。あこがれの気持ちを持って、見ること、真似することで発達が促進されます。

では、大きい子どもたちにとってはどうでしょうか?

“小さい子”がいるからこそ、より一層、「自分はお兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだ!」ということをくっきりと感じます。そのことによって、ちょっと背伸びをして、頑張ったりもします。小さい子たちのあこがれの眼差しに支えられて、誇らしい気持ちになれたりもします。

一方では、せっかくつなげた線路を、ハイハイでやってきた赤ちゃんに、なすすべもなくつぶされてしまうこともあります。そんな時は、保育士に泣いて訴えることはしますが、赤ちゃんに直接、怒りをぶつけることはしません。力ずくで赤ちゃんの行く手を阻めば線路は守れるのに、なぜでしょうか?それは、赤ちゃんには自分たちの言葉やルールがまだ通じないのだということを知っているからです。

このこと、すごいことだなぁと思います。日々の生活を共にする中で、「赤ちゃんって、○○なんだな」ということを、体験的に感じ取っていくのです。そして、“大きい子が小さい子に合わせる”ということを自ずからするようになります。

“思いやりの気持ち”というのは、相手を知ることなしには育ちません。発達的に先に進んでいる子が、発達的に後を追っている子に“合わせる”ことを知り、相手の状態や状況を理解して、その相手にとって伝わりやすいやり方で関わるやり方を体得していくのです。

こうして、関わってもらった子は、自分たちがしてもらったことを、自分たちより下の子にするようになります。
人は、“してもらった”ようにしか、できません。思いやりを持って大きい子どもたちに関わってもらった子は、思いやりを持てる子に育ちます。

このように、異年齢での活動は、子どもたちの育ちをとても豊かにするのです。

 

辻育子