開園当初から定期的に来園いただき、相談やアドバイスを頂いている臨床心理士の辻先生より、ロータスナーサリーの保育の特色を文章にまとめていただきました

 

 

臨床心理士の辻育子です。基本的に月に一度訪問して、一緒にお散歩に出かけたり、遊んだりして、子どもたちの様子を見守ってきました。ロータスナーサリーの特徴は『ひとりひとりの育ちのありようを大事にして、そのありように合わせた関わりをしている』ということに尽きると思います。
 
歌の時間のことです。キーンと甲高い歌声に驚いて思わず私がAちゃんのほうを見ると、それを察した園長先生がそっと「Aちゃんは一生懸命歌っているんです。あれがAちゃんの歌い方なんです」と教えてくれました。正しく歌うことよりも、自分なりに声を出し、楽しんで歌うことをまずは優先する・・その関わり方がナイーブなAちゃんの気持ちを伸びやかにするのだなぁと感じました。次に会った時にはAちゃんは自然な声で歌えるようになっていました。
 
また、人一倍過敏なBちゃんは、周りのことがとても気になるようで、じっくり遊びこむことができずにせかせかと動き回っては、お友だちの積んだ積み木を崩してしまったりする一方で、給食を食べたり、お昼寝をしたりすることを頑なに拒むのでした。きっと、感覚が過敏過ぎるため、保育園が安心なところだとわかるのに時間が必要だったのでしょう。先生方は、そんなBちゃんのペースに合わせて、根気よく丁寧に関わって来られました。2年が過ぎた今、Bちゃんは、「辻さんも一緒にお散歩行こうね」、「辻さんも給食食べる?」と気遣いのできるやさしい子に育ちました。
 
お着替えがめんどくさくて、すぐに先生に頼ろうとするCちゃんには、絶妙なタイミングでそっと手助けをすることで、“自分でできた!”という体験を積み重ねられるようにしてきました。この前のお散歩の時にCちゃんは自分でサッとジャンバーを羽織ると「ここはできないから手伝って」とジッパーを上げるところだけ手伝いを頼んでいました。その様子を見て、「自立するってこういうことだなぁ〜」と、Cちゃんのことをとても頼もしく感じました。自分がどこまでできるかわかっていること、できないところは手助けを求めることができること、どちらもとても大切な力です。Cちゃんは間も無くジッパーも自分で上げられるようになることでしょう。
 
初めてお家を離れる小さな子どもたちが過ごす場所として、いちばん大切なことは何でしょうか?私は『安心できる居場所であること』だと思います。『できる・できない』に関係なく、あるがままの自分をまるごと受けとめてもらえるところ・・安心していない子どもは、“探索活動”をしません。“探索活動”は、思考する力のベースになる大事な営みです。子どもはあたたかなまなざしに支えられて、育つ力を発動させるのです。
 
家族のように、兄弟のように、互いのことが分かり合える小さな保育園ロータスナーサリー、心温まる異年齢の関わりのようすについては、次の機会にお伝えできればと思います。