今年になってのメインシューズとして活躍している、テナヤ イアティ。
初めは外岩に使えるシューズを、と思い立っての購入だったのだが…。
約3ヶ月間、30回ほど使ってみた状態と使用感を確認してみる。
オアシと比べると、ソールがセミセパレートから一体型になり、剛性が増したとされるイアティ。
だが最近、このシューズはとにかくめちゃくちゃ柔らかいのでは…、と感じ始めた。
クライミングシューズがヘタった、という状態を知っている訳ではないのだが、使用感としては特に変わったところもなく使い続けているイアティ。
馴染みはした、という程度で伸びたりもしておらず、まだソールが目立って削れたりもしていない。
こうして見ると物凄いターンインに見えるが、iPhoneのレンズのせいである。
私の体重を支えている割には、ダウントゥのシルエットもちゃんと残っている。
長時間履いていると、爪先より先に足の裏がツって痛くなるくらいだ。
指の甲の部分の生地(ロリカ)の部分は天然皮革なら伸びまくるところだろうが、ここも伸びて来ない。
分厚い生地でもないのだが、非常に堅固である。
でも、最近の高性能シューズと呼ばれるものが、みなランドもアッパーも厚めのゴムで覆われてガッチリしていることに比べれば、硬くて痛いというものでもない。
爪先側で内側のベルクロ折り返しのところ。
べルトが擦れてキズついている。
左右ともになっているので、ホールドに擦られる部分なのだろう。
このままだといつかは切れる。
まぁ、Naさんのソリューションもやたらと切れたベルトを縫い足しているくらいだから、この細いベルトなら致し方あるまい。
爪先を折り曲げてみた様子。
大して力も入れていない。
くにゃっと曲がる。
今日ジムで会った人のインスティンクトVSは、爪先のソールが限界に近いほど使い込まれていたがこんなに柔らかくはなかった。
ソールは、ビブラムXS(旧)グリップ。
現行のXSグリップ2とXSエッジの中間的な硬さらしい。
凄く柔らかくないだろうか…。
これをVOLAREの店長に見せた。
店長はイアティを手にとっていろいろと弄り回して一言。
〝かなり柔らかいシューズだと言えます〟
…やっぱり…。
そして、スメア方向にはかなり柔らかいけれども、ソールの捻れ方向にはしっかりしている、と。
キチンと作ったシューズは、特にこの捻れ方向には強く、ヘタらない様にしているらしい。
これが甘いと、身体を返したり膝を入れたりした時に斜めに掛かった力でグリップがすっぽ抜けてしまうとのこと。
だがやはりこのイアティ、これだけ爪先が曲がるということは、爪先のシャンクはもうヨレてしまっているのだろうか…。
ただ、店長曰く、柔らかくなってくるのもヘタってくるのも、シューズの手入れがどうのこうのと言うよりも、使い方・足の力のかけ方によるところが大きいらしい。
さて、私のイアティは今後リソールのタイミングを迎えた時にはどうなっているだろうか…。
イアティはタリファと比べても、特にアッパー側にストレスがないので、足を入れても硬さの印象はなかった。
ジブスに立ち込んだ時にも薄ポケットに爪先を突っ込んだ時にもシューズの柔らかさを感じるが、ジムでの練習の時には柔らかいシューズの方が足が鍛えられるとも聞いたので、足の指が負けそうになろうが痛かろうが〝これでいいのだ〟と思って踵を持ち上げていた。
垂壁の極薄ホールドにスメッジングしていたら、私よりも上手い人から〝よく爪先で乗ってられるものだ〟と言われたこともあったが、そうしているうちに謀らずして爪先が鍛えられているのかも知れない。
店長が言うには、外岩の本番でガッチリ立ち込めて掻き込めるエッジングシューズを履けばどれだけ楽に登れるかが分かる、とのこと。
まぁ、インスティンクトやミウラーには興味もあるが、ここはタリファに任せよう。
既にイアティとは別物と思えるほどの剛性感のあるタリファ。
イアティより攻めたサイズでもあるし、レースアップシューズだ。
開けてみれば、イアティこそジムシューズで外岩にはタリファかも知れない…。
ただ、イアティと比べると、ターンインの度合いのせいか、エッジングポイントが違う様に思えるのだが…。
因みに、私自身が今現在かなりのテナヤ贔屓の思考になっているのも間違いない。
一般的に、もっと上達に役立ってもっと思い通りに登れるシューズがあるかも知れない。
しかし、タランチュラで2Qを落とす人を目の当たりにすれば、段クライマーでもない限り、デザインやコンセプトの気に入ったシューズをフィーリングで履けば良いと思う。
登ってて楽しければ、どんなシューズでも上達出来る。
ただし、最低限足型に合っていて、ある程度は足裏感覚を把握出来るシューズであることは大事だと思うが。。。