勝手に論愚選 【産経俳壇2024,09,26】【産経テーマ川柳】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【産経俳壇2024,09,26】
[宮坂 静生 選]
人去つて暗闇残る花野かな (北名古屋市 月城 龍二)
(評)日暮れまで人がいた花野が夜に入る。暗闇の中で松虫草もリンドウも花を競い合う。花の気持ちは何を考えているのか。不思議な花野にひかれる。
抽象は写実のひとつ黴の花 (横浜市 津田 壽)
終末を待ち受けてをり下り簗 (明石市 小田 虎賢)
盆踊一巡ほどの人生か (川西市 森野 幹子)
出棺を待つ金色の柩車灼く (名古屋市 可知 豊親)
ボブディラン流れ夜長の喫茶店 (郡山市 寺田 秀雄)
秋刀魚食ふ壁の写楽に見つめられ (平塚市 日下 光代)
熱帯夜几帳面なる書架遺し (枚方市 加藤 美保子)
八月はピカソの鳩になるのです (尼崎市 永田 啓司)

[対馬 康子 選]
まだ続く踊やふつと傾く国 (出雲市 石原 清司)
(評)大勢が一緒になって同じ所作で踊る盆踊は楽しい。ブームである。恍惚と輪が途切れない。盆に迎えた祖霊をかの世へ見送る踊の中で、ふと国の行く末を思う。
切株に高さありけり晩夏光 (広島市 谷口 一好)
八月はどの白雲も魂抱く (枚方市 安達 京子)
老人はいつも新鮮夏休 (宇陀市 泉尾 武則)
非常階段に酷暑が一匹座つている (東京・大田 吉田 かずや)
夜干しする梅を返して星の味 (柏市 新美 隆)

【産経テーマ川柳】テーマ 豆腐
白壁に紫たらし独り酌む (泉大津市 保高 林二)
豆腐に頭ぶつけ安らかに逝く (川西市 川口 正浩)
豆腐でも豆富でもよし「笹の雪」 (東京・品川 会田 けんじ)
(評)正岡子規が愛顧した東京・根岸の豆腐料理屋が「笹の雪」。店では今でも豆腐を豆富と表記します。
湯豆腐は雪見障子に掘り炬燵 (三鷹市 ガス橋)