勝手に論愚選 【日経俳壇2024.08.19】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【日経俳壇2024.08.19】
[横澤 放川 選]
三千本の鯖焼くけむり半夏生 (越前 上嶋 昭子)
(評)藩政時代から続く銷夏の行事。老舗は朝から大忙しだという。いかさま梅雨明けの候だ。
弁慶をかるがる抱え山笠(やま)飾る (福岡 山本 眞弓)
迷彩の服ある星野更衣 (美波魚沼 木村 圭)
九十に成つてしまうや茄子の花 (久喜 宮本 チヱ)
(評)なってしまうということばづかいの面白いこと。寄る年波もいわれてみれば一つの驚きなのだ。
どの子とも住まず目高の子と暮らす (清水 呑舟)
妣の貌真似て姉逝く走り梅雨 (周南 藤本 トシ子)
ハンドルに足やダンプの三尺寝 (大垣 大井 公夫)

[神野 紗希 選]
爆心へ奉る水盤秋津の尾 (狛江 北欧小町)
(評)長崎の平和記念館の水盤に、水を求めた被爆者を悼む。卵を産む蜻蛉の尾が再生の光を震わせる。
八月の火輪に翳す手の爛れ (さいたま 武智 しのぶ)
(評)太陽に翳す手の爛れに八月の戦火の記憶が疼く。
崩れても砂山積む子広島忌 (東京 山縣 文)
手でちぎる豆腐八月十五日 (東久留米 松本 こういち)
(評)八月十五日は終戦記念日。豆腐の食感のなまなましさに、食べて生きる命の実感が凝縮する。
クッキーに乗せ空蝉を持つてくる (東京 山﨑 晃)
3Dプリンターから雲の峰 (町田 彈塚 直子)