ブックオフで発見して思わず買ってしまった作品、二階堂黎人さんの『名探偵水乃サトルの大冒険』のご紹介です
タイトルが私に『シャーロック・ホームズの冒険』を髣髴とさせ、あやかって命名したのかな~と勝手に想像しました
想像通りなら、中身は推理小説の先達へのオマージュ?と推理して、読むことを決めたのでした
…なんていうと大袈裟ですね(笑)
ページを繰って、収録作の目次を見れば、すぐに分かることです
「ビールの家の冒険」に「『本陣殺人事件』の殺人」ですから(笑)
明らかに前者は西澤保彦さんの『麦酒の家の冒険』、後者は横溝正史先生の『本陣殺人事件』のモジリだということがわかります
また実際読んでみると、様々な作品のペーソスを感じ取ることが出来ます
私ですらそうなんですから、もっとハードなミステリマニアには、思い当たることがたくさん出てくるのではないでしょうか?
その点は巻末の解説で詳しく触れられています
作品を読んで思ったのは、「二階堂黎人さんは、きっとすごく愉しんで執筆したんだろうな~」ということ
文章の走り方にノンストップで一気に書き上げた感があり、立て板に水、という感じを覚えました
好きなことについて滔々と語っている感じ(笑)
そして、ミステリ好きにのみ理解できるようなシャレも交えながら
ちゃんとしたミステリなのですが、全編に散りばめられたシャレのせいか、探偵役の水乃サトルのキャラクターのせいか、とぼけた味わいのある作品であると感じました
取り上げているネタも、宇宙人やら、女子特有の変体丸文字やら、やたらギャグっぽいです
軽妙な文体であっという間に読めちゃう
退屈な昼下がりに読むのにうってつけの作品です
さて、この作品に面白味を感じた方は、東野圭吾さんの『名探偵の掟』 を次におススメします
この作品は、『名探偵水乃サトルの大冒険』のように特定の推理小説をネタにしているのではなく、推理小説というカテゴリ、ジャンル自体をネタにしたパロディと言えると思います
ミステリを肴に茶化しているように見える作品ですが、読み終わった頃にはミステリに詳しくなっているという不思議な作品です
それと同じことが鯨統一郎さんの『ミステリアス学園』 にもいえると思います
それから、宇宙人をネタにした「空より来たるもの」にウケた方は、田中啓文さんの『蓬莱洞の研究』 がいいでしょう
現代科学では非現実的と切って捨てられるようなネタのオンパレードで、バカバカしい(失礼…)ドタバタ劇が楽しめます
読書の秋をお楽しみください
