- 西の魔女が死んだ (新潮文庫)/梨木 香歩
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心傷ついた少女が、田舎のおばあちゃんの家で心を癒し、現実に立ち向かっていく強さを養っていく物語です
ところがこのおばあちゃん、実は魔女だったのです(注※奥様は魔女風に読んでください
)
主人公・まいは中学校に入学して早々、登校拒否を始めます
原因は、女子にありがちな“派閥”に入り損ねたこと
これは死活問題です
どこの派閥にも属さないということは友達がいないというだけではなく、何かと集団行動の多い学校生活でグループ分けなどをしたときに最後まであぶれる、という苦痛が待っています
私もまいと同じく、女子特有のグループ行動には辟易していたタイプなので気持ちは良くわかります
本当に仲良くしたい人と自由に仲良くするということが許されないんです
すぐ裏切ったとか、そういう話になっちゃう
まいには共感するし、一匹狼を選んだことには賛同しますが、まぁ生き難いやり方ですね
登校拒否児というのは自分の殻に閉じこもって外界を拒絶する、というイメージがあるかと思います
だんだんとそうなってくることはあるかもしれませんが、意外と周りに気を遣っているものなのです
親はなんて思っているだろう?
軽蔑しただろうか?情けないやつだと思っているだろうか?
きっとそうだ
そんな自分が情けない
なんとかしたいけど、どうしたらいいかわからない…
思考が負のスパイラルに陥って、なかなか自分では抜け出せなくなり、苦しい気持ちを遮断するための防御壁を構築していくのです
それが殻に籠もっているふうに見えるんだと思います
その点、まいのお母さんは賢明でした
まいを田舎のおばあちゃんのところへ預けるという決断を下したのです
まいのおばあちゃんは英国人で、英国流スローライフの達人です
お野菜だけでなくハーブも育て、野いちごでジャムを作り、ベッドヘッドにたまねぎをぶら下げて安眠のおまじないをする…
女の子なら誰しも憧れそうな生活ですよね
赤毛のアンの世界に紛れ込んだような、そんな気分になれそうです
それよりも何よりも、田舎の綺麗な空気や水や緑、規則正しい生活、新鮮な食材で作った食事は、体のバランスを立て直してくれます
人の心身というのは相関関係にあります
心の均衡が崩れれば、体調も悪くなる
その逆も然りです
まいも例外ではありませんでした
まいはおばあちゃんとの生活を通して、体勢を立て直したのです
しかし、おばあちゃんがまいに与えたものはそれだけではありません
まいがまいのまま強くなるために必要なエッセンス
魔女の心得です
そしてその他にも…
最後の魔女からの伝言には、深い深い愛情が溢れていて、思わず涙が出てきました
今回は、主人公の状況に関して感想を書きましたが、スローライフの素敵さを夢想させる一面もあります
上述したように『赤毛のアン』に憧れる方にはおススメしたい1冊です
また、思春期の少年少女の心の揺らめきという点では、木地雅映子さんの『マイナークラブハウスへようこそ!』 、『マイナークラブハウスの森林生活』 もおススメです(リンクをクリックするとこのブログ内の記事に移動します)
こちらも思春期を題材に採っていますが、コミカルなタッチで描かれていてアハハ!と笑える作品になっています
『西の魔女が死んだ』に興味を持ってくださった方、そちらのほうも読んでみてくださいね