- ST警視庁科学特捜班 青の調査ファイル (講談社文庫)/今野 敏
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今月15日に『ST 警視庁科学特捜班 為朝伝説殺人ファイル』が遂に文庫化します
それを記念して、『ST』シリーズの中で特に色名シリーズと呼ばれる5冊を順次ご紹介していきたいと思います
最初にご紹介するのは『青の調査ファイル』です
“青”というのは、ST文書鑑定担当・青山翔の名前の一文字です
STのメンバー5人にはそれぞれ、青・赤・黄・緑・黒の一字が名前に入っています
色名シリーズは、メンバー一人一人をフューチャリングした作品群です
さて、『青の調査ファイル』は表題が示すとおり、青山翔に焦点を当てた物語です
青山が活躍する事件は、幽霊が出ると噂されるマンションで起きた変死です
被害者は、番組制作会社のプロデューサー
彼は現場でオカルト番組の収録を行っていました
一見、脚立からの転落死、つまり事故死に見えましたが、遺体の状況から殺人を疑うSTのメンバー
また、番組に出演していた霊能者・安達は、霊障による死だと断言します
この部屋は霊に祟られているのだ、と
文書鑑定担当であり、心理学者でもある青山は、安達に興味を覚えた様子
少々オカルトチックな事件の行方は――
容易に展開を覚らせないのは、流石警察小説の名手と呼ばれる今野敏さん
先が気になるあまりついついページを繰る手が速くなってしまいます
ストーリーの骨子は、事故死か殺人か
そして殺人だとすれば誰が犯人か
STの面々は実験や観察によって可能性のある推理を可不可を実証することによって、取捨選択していき真相へと迫ります
そして本作の中心人物である青山翔のプロファイリングも見所の一つです
山場は、霊能者・安達との対話
青山はそこからポーカーフェイスで超然とした安達の性質や心理を見抜きます
それから犯人に仕掛けた心理戦
青山がホシをオトス過程は見物です
これから夏本番
オカルトネタを題材にとっている本作品は納涼にもピッタリではないでしょうか?