チーム・バチスタの栄光　　海堂尊

　遂に読みました『チームバチスタの栄光』

　この作品は、バチスタ手術と呼ばれる拡張型心筋症の手術中に起きた術死の原因究明のお話です

　調査を依頼されたのは、外科音痴の神経内科万年講師の田口公平

　そして厚生省の変人役人の白鳥圭輔

　ドラマ化もされたので、どういう作品かをご存知の方も多いかと思います

　ドラマも大変出来のいい作品でしたが、原作も素晴らしいです

　ドラマと比べても遜色ないお話です

　ドラマを観たから原作はいいや、とお考えの方もいらっしゃるでしょうが、是非原作も読んでみてください

　原作はドラマとはキャラ設定が異なっており、ストーリーも大筋は一緒ですがドラマのほうは脚色されています

　脚本がよかったのでドラマは面白い作品に仕上がっていますが、その脚色部分が活きたのはベースの原作が素晴らしかったからこそだと原作を読んで思いました

　なんといっても構成力がすごい

　前半は田口講師によるパッシブ・フェーズでの聞き取り調査

　後半は田口講師の調査を元に展開された白鳥のアクティブ・フェーズでの調査

　パッシブ・フェーズというのは相手の言い分を聴取する調査で、アクティブ・フェーズというのはわざと相手を激情させて隠れた本音を語らせる手法です

　田口が登場人物のキャラや事件概要を明確にし、白鳥がそれを突き崩す

　こういう流れでの調査だったからこそ物語に深みと面白味が出たのだと思います

　読了後なので全体を俯瞰した感想が言えますが、実際読んでいる最中、特に後半はテンポのいい展開に釘付けでした

　まるでジェットコースターに乗っているかのよう

　めくるめく展開に息を飲みます

　これがデビュー作だというのだから尚すごい

　続刊が次々に出るのも頷けますし、流石「このミステリーはすごい！大賞」を受賞した作品だけのことはあります

　読んで損はない作品だと太鼓判を押せます