- 僕僕先生 (新潮文庫)/仁木 英之
- ￥540
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最近ファンタジー小説からは遠ざかっていましたが、久々に面白いファンタジー小説に出会いました
舞台は玄宗皇帝の支配する中国で、仙人が出てくるお話
『封神演技』や『創竜伝』を思い出させる一方、文章の雰囲気は『しゃばけ』を思い出させます
読み口のほんわかした作品で、穏やかな気持ちにさせられます
内容は、一人のニート青年の成長物語といえるでしょう
親に財産があるのをいいことに無為徒食の生活を送る主人公・王弁
彼のぐうたら生活には、母親の死後すぐに後妻を持った父親への反発もあります
そんな彼の生活を変えるきっかけとなったのが、美少女仙人・僕僕との出会いです
ひょんなことから僕僕に師事することになった王弁と僕僕との物語が語られるわけですが、この物語は大きく２部構成になっています
１部は僕僕と王弁の冒険の物語
次なる１部は僕僕の医療活動です
前部では女性としての僕僕への王弁の思慕が描かれます
その恋心はけして清らかなだけでなく、嫉妬や劣情を孕みながらも、信頼へと繋がっていきます
後部では、僕僕の傍にずっといられるわけではないことを悟った王弁が、真剣に彼女の教えを請うことになります
僕僕は王弁の意を汲んで、彼に練丹術（薬の作り方）を教えます
それまで何事も為さず、安逸な生活を貪っていた王弁の心境の変化のきっかけは、立派な志あってのことではありません
しかし、僕僕を想う一念が岩をも通し、王弁は脱ニートを成し遂げるのです
などなどと真面目な話をつらつらと書きましたが、本作の面白味は見事なＳっぷりを発揮する僕僕といじられキャラの王弁の掛け合いにあります
王弁の抱く劣情を看破しながら、えさをチラつかせて王弁の反応を面白がる僕僕先生のいたぶり・なぶりの数々にはしびれます（笑）
それに応えるへたれ男・王弁のやられっぷりは最高です
ドキドキしたり、ふくれたり、すねたり、ナイスなリアクション（爆）
この作品はシリーズ化されているようなので、今後の二人には大いに期待です
早く文庫落ちしないものか、今から楽しみです