白澤 (講談社文庫 あ 103-2 人工憑霊蠱猫)/化野 燐
¥840
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 以前ご紹介しました『蠱猫』の続巻です

 人工憑霊を巡る暗闘が描かれた作品で、前回までは導入部、と思っていました

 そして導入部はまだまだ続くようで、今回のこの作品は、人工憑霊を積極活用しようとする有鬼派と美袋小夜子・白石優との戦いと同時進行していたもうひとつの物語、そして、ふたつのストーリーが合流したその先、が描かれています

 今回の主人公は、前作で冴えない学芸員として登場した時実さんと、妖怪データベース作りに協力したシステムエンジニアの石和百代さんです

 時実さんのキャラの面白いところは、こんな小説に出てくるのに、彼は全く「視えない」人だということ

 有鬼派という団体がいることや、「視える」人間がいることは知っているけど、何処か斜に構えて見ている

 しかし彼の場合はそれが故に、人工憑霊の力を打ち消すことができるという能力を持っています

 それから、石和百代さん

 彼女の能力も斬新で、彼女はネット上に妖怪の存在を感じ取れる能力を持っています

 さらに秘めた力をお持ちのようですが、この度はまだ目覚めには到っていないようです


 さて今回のタイトル『白澤』ですが、前回白石くんが「白澤の器」というような呼ばれ方をしていたので、彼の目覚めの物語になるだろうと予測していましたが、見事に裏切られました

 ということは、彼の目覚めのストーリーはもう少し因縁深いものになるのかなぁ、なんて予想しています

 でも、「白澤」という題名を掲げるだけの理由はありますので、是非読んでみてくださいね


 謎が謎を呼ぶ展開で、すっかり飲まれてます(笑)