誰もが親しめたランチ | バーテンダーは心の名医

誰もが親しめたランチ

 コースを嫌う、マスターが推奨されるフレンチ、イタリアン、中華、和食の在り方とはどんなお店ですか。

      (レストラン・シェフ)

 当初、外国に行くと、星付きや、有名レストランに行かねばならないという思いがあったが何度か行っているう

 ちになぜか違和感を感じるようになった。

 私が懐かしむのは、庶民のほんのちょっぴり一段高見ではあったが、ポークステーキ、ビーフ・ステーキ、スパ

 ゲッティ・ミートソース、帆立 貝のグラタン、ビーフシチュウー、ハンバーグステーキに 必要とあればコーンポ

 タージュ、サラダ、パンもしくはライスといった、日本人が日本人に合わせ知恵と持てる技術と経験を鑑みて編

 み出した洋食スタイルである。スパゲテイーだけでも、ポークカツレツ(いわばトンカツの元祖)にライスだけで

 味わえた洋食。美味かったが手間暇がかかった。缶のソースも養殖も冷凍も真空パックもない時代だ。

 「ほっぺたが落ちる」

 母がよく口にしていた言葉だ。それぐらいショックだった。

 決して単純なアレンジではない手作りの心のこもったメニューである。手軽で気軽で心のこもった美味しい味で

 日常価格だった綺羅星の洋食スタイル。あのポークカツレツ、ロールキャベツ、ボンファム、庶民が少しだけ背

 伸び して食べれたあの手間暇かけた洋食スタイルだ。

 ヨーロッパを旅して歩く目的は幼いころにショックを受けた 「ほっぺたが落ちる」 味である。

 しかしだ、ヨーロッパを旅して思うのは、料理の基礎を叩き込んでくれた洋食への強い思いだ。

 「母のぽっぺたを落としたい」と志を持って『フライパン』の厨房に立っ日だ。

 現在、二代目が厨房を仕切っているが、それが一向に変えずに昔ながらの手作りスタイルでやっている。

 「お客様のほっぺたを落としたい」

 と。