革を仕入に行く問屋さんに言われた言葉が印象に残っています。
鹿は角があり、且つ銃によって狩られるため、製品に至る革は激しく損傷し使い物になる部分が極めて少ない、衣料に使われるくらいの大きさを確保するのは無理とおっしゃってました。
鹿革は革のカシミヤと呼ばれる、非常に貴重且つ上質な革です。
普段使う、お気に入りのレザージャケットがこんな革だったら最高だと思います。
一生物。この言葉はよく使われますが、一生使うならデザイン、柔軟性、軽さ、耐久性の精度の高さは不可欠だと思います。
そのすべてを充たした希有な存在。
ナイジェルケーボンだからこそ為しえた珠玉の一品。
試着だけでも構いません。
最高とはこの事だと心から思える服です。
以下2013NIGEL CABOURN BOOKより一部抜粋
ヴィンテージのフィッシングジャケットをベースにしたデザインです
腰回りの保温性を確保しつつ、足さばきを妨げないよう着丈は短めに設定されています
前身ごろに設置されたポケットはすべてボタン、フラップ、マチ付です
雨に濡れたり、脱落することを防ぎ、ポケットの内容量を稼ぐ目的があります
それはハンティングやフィッシングにまつわる様々な道具に対応するためです
左胸にセットされたムートン（ポケット内に収納可能）は毛針を保持する目的があります
ボディはディア―スキン（鹿革）です。
ディア―スキンにはほかの革にはない様々な特徴があります
まずは軽さ。これは牛革のジャケットとお比べいただくとハッキリ違いが分かると思います
次に柔らかさ。触ると風合い自体が非常にソフトで、しかもゴムのような伸縮性があります、ひじの曲げ伸ばし、肩の動作の性能が牛革のそれと格段に異なります
俊敏な動きが問われるハンティング、フィッシングにおいて、この柔軟性がディアースキンを用いる要因となっています。
次に頑丈さ、ソフトで伸縮性があることと矛盾するような要素ですが、鹿革は引き裂きに強く、しかも方向性を問いません
他の革には均一的な方向性があり、縦には伸びるが、横には伸びない、あるいは一方の引き裂きには耐えるが、もう一方に非常に弱い、といった特徴があります。
これらはディア―スキン（鹿革）だけが持つ細かい網状構成によるものです。
超極細の繊維はミクロン単位の汚れを捉え、掻き落とすことができるためカメラレンズや眼鏡ふきにも用いられます。この特殊な性質は合成繊維も及びません
そして通気性。
たとえばライダースジャケットは一旦体制を決めてしまうと運動性は求められません、そのため柔らかさよりも遮風性が要求されます
ですがこちらのジャケットは動き回ることを前提に設計され素材が決められています。両者は同じレザーと呼ばれる素材ですが、使用目的により全く異なる性質となるのです。
鹿革には銀面と呼ばれる表面に多くの傷があります。
これは鹿同士が角を突合せたりする際にできた傷です。こちらの素材にも当然傷は残っています。
現代ではこういった傷を目立たなくするため表面にコーティングを施す場合があります。それは見栄えを良くし売りやすくするためですが重大な欠点があります。
鹿革の特徴である、通気性を失ってしまうことです。
こちらの素材は傷を隠すことではなく本来の利点を生かすことを選択しています。
なめしはフルベジタブルタンニンです
革はそのままでは、腐敗、あるいは硬化します。
道具や素材にするには、なめしの作業はかかせません。
なめす方法は大きく分けて、植物から抽出したタンニン成分を利用したベジタブルタンニンと、塩基性硫酸クロムを使用した、クロムなめしがあります。
クロムなめしは化学の発達が生んだ技術でタンニンなめしより、時間や手間がかかりません。
一方ベジタブルタンニンなめしは、皮への浸透に非常に多くの時間がかかるため、いくつかの段階を踏む必要があります。また職人の経験値も不可欠です。
本製品で採用しているのはフルベジタブルタンニンなめしです。
手間と時間はかかりますが、使い込めば使い込むほど、革の内側から飴色の艶がでて独特の深い経年変化の表情を見せる事が大きな要因です。
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