柱のかげ(ハリー編) | Sweet Sweet Love Story(恋愛小説&ときメモGS夢小説&詩)

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詩や恋愛小説とか書いてます。ときメモGSシリーズの夢小説・・・特にハリーこと針谷幸之進くんを中心に書いてます。
いくつになっても恋愛続行☆毎日ワクワク過ごすために☆

ふと、ハリーの短編集のドラマのライブハウスのことを思い出して・・・作ってみました。

セリフネタバレありですので・・・。 お気をつけて。


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ONEPIECEをめざして(ときメモGS2他夢小説版)-ハリー屋上ピック投げ3


ライブハウス。

ここは、ハリーのライブを初めて見たライブハウス。

そう、あの日もこの柱にもたれてたっけ・・・。


高2の初め頃。

まだ、ハリーとつき合うずっと前だ。

ハリーがライブをやるってチラシをみてこっそり来てみたライブハウス。

それにしても・・・ すごい人。

ハリー人気あるんだな。

ちょっぴり、遠い目・・・。

私なんか 場違いみたいで恥ずかしい。

周りはロックな衣装の女の子達がいっぱい。

小さなステージにギターやドラム。

ハリーのバンドらしきメンバーが音の調節をしていた。

そろそろ・・・だよね?

奥の扉が開いた。

「きゃ~!ハリー!」

女の子達の声援が響く。

え?

私はそっと柱のかげからステージを覗く。

あ・・・。

いつもの制服姿とは全然違う、華やかなハリーがそこにいた。

学校でも決まってるけど・・・今日は一段と決めた赤い髪。

キラキラ光る大きな目にスポットライトが反射してた。

凄い・・・。

しばし呆然としていた。

か・・・かっこいい。

いや、マジで芸能人を見るように

私はしばらく息をするのも忘れていたくらいだ。

「OK?んじゃ、行くぜぇ~!」

ハリーのシャウトで演奏が始まる。

うわ~ 凄い音。

この響き。体の奥まで震えてくる。

ハリーって・・・こんなに格好良かったんだ。

改めて、ハリーの凄さに気づかされた。

学校では、かったるそうに歩いていたり

中庭で、志波くんとお昼寝してたり

凄くのんびりした普通の高校生なのに

ステージに上がると

ぜんっぜん違う!

・・・本当、スターなんだ。

私はそのままハリーの音楽に引き込まれていった。


それから、何度かこっそりライブを見に来た。

ライブハウスの柱のかげ・・・。

ここが私の定位置になった。

ここから見るハリーの姿が一番好き。

・・・ううん、本当はいつかもっと間近でライブが見れたらな・・・。

なんて思うこともあったけど。

今は、こうしてハリーと同じ空間にいれるだけで幸せだ。

でも、いつも思う。

学校で聞かせてもらうハリーの歌声とちょっとどこか違う。

私の前で歌うハリーのあののびやかさがないっていうの?

まぁ、ステージじゃ緊張もしてるんだろうけどね。

さっき、たまたま廊下で見かけたハリーが

妙にイライラしてるようだった。

ライブ前だから仕方ないのかな?

私がライブを見に来ていることは内緒。

だから声はかけれなかったけど・・・。

がんばれ・・ハリー。


「レッドクローズ!!!」

いつものようにハリーの声で演奏が始まる。

あれ?この曲・・・。

前にハリーが聞かせてくれた曲だ・・・・。

「今日の一曲目は、オレのわがままで替えてもらった。

・・・柱のかげにいる オマエに送る・・・。

Only you!」

え????????

ドキッとして思わず柱から飛び出した。

ハリーの目が私をまっすぐに見ていた。

え?気づいてたの?

ハリーの歌声が優しく響いてくる。

あぁ、いつも私の前で歌ってくれるのと同じ響き。

今のハリーは、とってものびやかにイキイキとしてる。

いつもより、断然素敵だよ。

周りのファン達もうっとりと聞き入っている。

なぜか、涙が出そうになった。


「な、なんだよ?何、泣きそうな顔してんだよ?」

「え?」

ふいに声をかけられて顔を上げる。

ハリーがちょっと心配そうに私を見た。

「つまんなかったか?ライブハウス・・・。

オレのお気に入りのバンドだから、オマエも誘ったんだけど・・・。」

「ううん、そんなことないよ。楽しみだよ!」

現実に引き戻った。

今日は、ハリーの誘いでライブハウスへのデート中だ。

「じゃあ、なんだよ?なんかあったのか?」

「ううん。あの時のこと思い出してた。」

「あの時?」

「初めてハリーがここでOnly youを歌ってくれた時のこと。」

「あぁ、あんとき、オマエ、柱のかげにこっそり隠れてただろ?」

「いつから気づいてたの?」

「ずっと気づいてた!あったりめーだろ!オレ様に隠し事しよーなんて

100年早いつーの!」

「え?そうなの?じゃ、毎回こっちを見てたの?」

「あ?毎回?」

「うん・・・。何回かライブ見に来てたから。」

「はぁ?オマエ、あん時が初めてじゃねーのかよ?」

「え?」

「えー?」

「な、なんだ、気づいてなかったんじゃん・・・。」

「つーか、なんだよ、それ?」

「ははは。 ・・・恥ずかしいからもういいよ。」

「オマエ、こっそり来てたんか?」

「・・・うん。」

「ばか! 早く言えよ!」

「えへへ。」

「ったく・・・。」

「・・・あの時から、私の定位置なんだ、ここ。」

「柱のかげ・・・か。」

「うん。 あの時の感動・・・あの時の気持ちは絶対忘れない。」

「・・・わりぃな、気づいてやれなくて。」

「え?な、何言ってるの?私が勝手に・・・。」

「ひとりぼっちで見てたんだ?」

「え? ・・・う、うん、まあね。で、でも! 楽しかったよ。」

「・・・。」

「ハリー?」

急に手をつかまれて私は柱のかげにハリーと並んだ。

「・・・これからはもう一人じゃない。」

「ハリー・・・。」

「オマエの定位置はこんな柱のかげじゃねーつーの!」

「え?」

「これからはここはオレとオマエの場所だ。」

「ハリー。」

暗いライブハウスの中

そっとハリーがくちづけくれた。

こっそり刻む柱のキズ。

h&y・・・forever・・・。


<柱のかげ(ハリー編) 完>